建設業の会計ソフト|現役現場監督が一人親方〜中小向けに絞って比較した【2026年版】

建設業の経理は、正直ややこしいです。

「実際問題この工事っていくらの儲けなんだ?」

と思いながら現場から帰ってきたことはありませんか?

私も建設業に20年いて、長いあいだ工事ごとの損益がまったく見えていませんでした。

材料費や外注費をざっくり足し算して「まあ黒字だろ」で終わっていた時期が続いていました。

会計ソフトを使い始めてから変わったのは、

どの工事で稼げていて、どの工事で損しているかがはっきりわかるようになったことです。

この記事では、一人親方・小規模〜中規模の建設会社に向けて、現場目線で会計ソフトを比較します。

企業向けの高機能なシステムではなく、「現場の人間が実際に使えるか」を基準に絞って紹介します。

目次

建設業の会計が一般会計と違う理由

まず前提として、なぜ建設業は一般の会計ソフトでは管理しにくいのかを整理します。

建設業には、他の業種にはない独自の会計処理があります。

  • 工事ごとの原価管理(材料費・外注費・労務費を工事別に記録する)
  • 工事台帳の作成(工事ごとの収支を記録する帳簿)
  • 完成工事基準・工事進行基準(工事の完成タイミングで売上を計上する考え方)
  • 建設業特有の勘定科目(完成工事高、完成工事未収入金、未成工事支出金など)

特に勘定科目の違いは大きく、一般企業の「売上高」が建設業では「完成工事高」、

「売掛金」が「完成工事未収入金」という名称になります。

意味は同じでも名称が異なるため、一般的な会計ソフトを使おうとすると

勘定科目の設定から自分でやり直す必要があり、経理初心者には特にハードルが高くなります。

建設業の主な勘定科目一覧

一般会計の科目名建設業での科目名意味
売上高完成工事高工事が完成して計上した売上
売掛金完成工事未収入金完成工事のうち未回収の金額
仕掛品未成工事支出金工事中に発生しているコスト
前受金未成工事受入金工事完成前に受け取った代金
売上原価完成工事原価完成した工事にかかった費用

この勘定科目に最初から対応しているかどうかが、建設業向け会計ソフトを選ぶ一番の基準になります。

建設業向け会計ソフト 比較表

まず全体像を整理します。

ソフトタイプ工事原価管理向いている規模月額費用目安
勘定奉行クラウド〔建設業編〕クラウド中〜大規模要問合せ
PCA建設業会計クラウド/インストール中規模要問合せ
建設大臣NXインストール建設業専用を使いたい会社要問合せ
マネーフォワードクラウド会計クラウド小規模・一人親方月2,980円〜
弥生会計インストール/クラウド一人親方・小規模月1,000円〜

判断の軸は2つだけです。

  • 工事ごとの原価管理が必要 → 建設業専用ソフト
  • シンプルな記帳で十分 → クラウド会計ソフト

建設業におすすめの会計ソフト5選

① 勘定奉行クラウド〔建設業編〕

建設業に特化した機能が最も充実しているソフト

主な特徴

  • 工事別原価管理(材料費・外注費・労務費を工事ごとに自動集計)
  • 工事台帳の自動作成
  • 建設業決算書への対応
  • 経営事項審査(経審)シミュレーション機能あり

中〜大規模の建設会社では、勘定奉行クラウドを導入しているケースが多いです。

特に経審に対応している点は、公共工事の入札を行う会社には重要なポイントです。経審の点数をシミュレートしながら決算対策ができるソフトは少ないため、公共工事メインの会社には強みになります。

費用はやや高めですが、建設業会計に必要な機能が一通り揃っています。

おすすめ度:★★★★★ 向いている会社:従業員20名以上、公共工事を受注している中〜大規模会社

② PCA建設業会計シリーズ

建設業専用ソフトの老舗。工事別収支管理に強い

主な特徴

  • 工事・工種マスター搭載
  • 工事別収支管理
  • クラウド版・インストール版どちらも選べる

PCA建設業会計は、工事ごとの損益をしっかり管理したい会社に向いています。

工事・工種のマスター管理が充実しており、工事数が多い中規模会社でも整理しやすい構造になっています。

クラウド版があるため、現場と事務所で同じデータを参照できる点も実務上メリットです。

おすすめ度:★★★★☆ 向いている会社:工事数が多い中規模会社

ヤマダ

2か月の無料体験もあります

③ 建設大臣NX

工事台帳の自動作成に特化した建設業専用ソフト

主な特徴

  • 振替伝票の入力だけで工事台帳・会計帳票を自動作成
  • 建設業特有の会計処理に対応
  • 出面管理・共通費の自動配賦
  • 税理士事務所でも使われる定番ソフト

建設大臣NXは、伝票入力 → 工事台帳・会計帳票が自動で完成するという流れが特徴です。

税理士事務所での採用実績も多く、顧問税理士がこのソフトを使っている場合は連携がスムーズになります。

インストール型のため、クラウドのようにどこからでも使えるわけではありませんが、ネット環境に依存しない安定した動作が強みです。

おすすめ度:★★★★☆ 向いている会社:税理士と連携している建設会社、工事台帳の自動化を優先したい会社

④ マネーフォワードクラウド会計

小規模・一人親方向け。銀行連携・自動仕訳が強い

主な特徴

  • 2,400以上の金融機関と自動連携
  • AI仕訳で入力の手間を削減
  • スマホ対応
  • 建設業向け勘定科目テンプレートあり

マネーフォワードクラウドは、建設業専用ソフトではありませんが、

建設業向けの勘定科目テンプレートが用意されており、

完成工事高や未成工事支出金などの科目をそのまま使えます。

銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得してくれるため、記帳の手間が大幅に減ります。

ただし、工事別原価管理の機能は弱いため、工事数が少ない一人親方や小規模事業者向けという位置づけです。

工事が増えて「どの現場がいくら儲かっているか知りたい」という段階になったら、

建設業専用ソフトへの切り替えを検討するタイミングです。

おすすめ度:★★★★☆ 向いている会社:一人親方、従業員5名以下の小規模事業者

ヤマダ

無料で始められるので、「登録だけして試してみる」が出来るのが良いですね

⑤ 弥生会計

一人親方・会計初心者の定番ソフト

主な特徴

  • 操作がシンプルで初心者でも使いやすい
  • サポートが充実(電話・チャット)
  • 導入企業が多く、税理士との連携実績も豊富
  • 建設業向けデータテンプレートあり

弥生会計も建設業専用ではありませんが、建設業向けのデータテンプレートが用意されています。

未成工事受入金・支出金などの勘定科目が追加済みの状態で使えるため、セットアップの手間が少ないです。

税理士への普及率が高く、顧問税理士が弥生を使っている場合はデータのやり取りがスムーズです。

工事が少なく、まず会計の記帳だけできればいいという段階であれば、コストパフォーマンスが高い選択肢です。

ヤマダ

弊社も弥生会計を使っていますが、トラブルがあってもサポートが手厚いですし、顧問税理士さんも弥生を使っています

おすすめ度:★★★☆☆ 向いている会社:一人親方、会計ソフト初心者、顧問税理士が弥生ユーザーの会社

弥生会計・マネーフォワードで建設業の仕訳はできる?

「建設業専用じゃないと、仕訳できないんじゃないの?」という疑問を持つ方も多いと思います。

結論から言うと、できます。ただし、専用ソフトよりは手間がかかります。

弥生もマネーフォワードも、建設業向けの勘定科目テンプレートが用意されています。

  • 弥生会計:建設業向けテンプレートあり(完成工事高・未成工事支出金など設定済み)
  • マネーフォワード:建設業向け勘定科目テンプレートあり

これらを使えば、一般的な建設業の仕訳は問題なく対応できます。

ただし、「工事別に原価を自動集計したい」「工事台帳を自動で作りたい」という場合は、

専用ソフトでないと対応が難しくなります。

目安として:

  • 工事が年間10件以下の一人親方 → 弥生・マネーフォワードで十分
  • 工事が増えて損益管理が複雑になってきた → 建設業専用ソフトへ切り替え

マネーフォワードで工事原価管理はできる?

マネーフォワードのオプション機能「クラウド個別原価」を使えば、

プロジェクト(工事)ごとの工数・コスト管理が可能になります。

ただし、建設大臣やPCAのように「工事台帳を自動作成する」レベルの機能ではありません。

あくまで「工事ごとに経費を分けて管理できる」程度の機能なので、

工事数が増えて本格的な原価管理が必要な段階では物足りなくなります。

会社規模別おすすめ会計ソフト

会社の状況おすすめソフト理由
一人親方・個人事業主弥生会計・マネーフォワードコストが安く、操作が簡単
従業員1〜10人マネーフォワード・PCA建設業会計工事が増えたらPCAへの切り替えを
従業員10〜50人PCA建設業会計・建設大臣NX工事別の損益管理が必要
従業員50人以上勘定奉行クラウド〔建設業編〕本格的な建設業会計が必要

「会計ソフト」と「工事台帳ソフト」は別物?

建設業の経理に詳しくなってくると、

「会計ソフト」と「工事台帳(原価管理)ソフト」は別物という話を聞くことがあります。

整理すると、こういう関係です。

  • 会計ソフト:お金全体の流れを管理(仕訳・決算書・税務申告)
  • 工事台帳ソフト(原価管理ソフト):工事ごとの収支・原価を管理

建設大臣NXや勘定奉行クラウド〔建設業編〕のような建設業専用ソフトは、この2つが一体化しています。

一方、弥生会計やマネーフォワードは「会計ソフト」として機能しますが、

工事台帳の自動作成は基本的にできません。

そのため、工事台帳はExcelで管理しつつ、記帳だけ弥生やマネーフォワードを使っている会社も多いです。

建設業の会計ソフトの選び方|3つのポイント

① 工事別原価管理ができるか

材料費・外注費・労務費を工事ごとに管理できるかが最重要です。

  • できる → 建設業専用ソフト(勘定奉行・PCA・建設大臣)
  • できなくてもいい → クラウド会計(マネーフォワード・弥生)

② クラウド型かインストール型か

クラウド型インストール型
アクセスどこからでも使えるPCに依存する
費用月額課金買い切り+保守費用
アップデート自動手動(有料の場合も)
向いている会社現場と事務所を行き来する会社社内利用が中心の会社

最近はクラウド型が主流になっています。現場から直接データを確認・入力できる点は、建設業との相性が良いです。

③ 経審対応が必要かどうか

公共工事の入札に参加する会社は、経営事項審査(経審)に対応しているかどうかを確認してください。

経審シミュレーション機能があるソフトは、勘定奉行クラウド〔建設業編〕など一部に限られます。

まとめ|建設業の会計ソフトは「原価管理が必要か」で選ぶ

迷ったときは、この1点だけ確認してください。

「工事別の原価管理が今すぐ必要か?」

必要かどうかおすすめ
今すぐ必要勘定奉行クラウド / PCA建設業会計 / 建設大臣NX
まだ必要ない(小規模・一人親方)マネーフォワード / 弥生会計

どのソフトも無料トライアルや資料請求ができるので、まず1つ試してみるのが一番早いです。

工事台帳をExcelで管理している方には、現場で使えるテンプレートも配布しています。

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この記事を書いた人

建設業歴20年。二級建築士・一級施工管理技士。

現場も書類もほぼ一人で回す日々の中で、「もっとラクにできる」と思ったことをまとめています。

工事写真・安全書類・アプリ・経理・許可申請まで、建設業のバックオフィスを全部カバーします。

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