鉄筋工事の施工計画書は、ひな形を埋めるだけなら難しくありません。ただ、鉄筋はコンクリートを打てば見えなくなる工種です。施工計画書に書いたことが、実際に守られたと後から証明できなければ意味がありません。
この記事では、建設業20年の現場監督の立場から、鉄筋工事施工計画書の記載項目と記入例、そして「あとで自分が楽になる書き方」をまとめます。
- 施工計画書と施工要領書の違い
- 記載項目(章立て)の全体像
- 使用材料・継手・かぶり厚さ・配筋検査の記入例
- 写真とチェックリストを前提にした書き方のコツ
施工計画書と施工要領書の違い
鉄筋工事では、似た名前の書類が2つ出てきます。
施工計画書
元請の施工者が作成し、監督員や工事監理者の承諾を受ける書類です。鉄筋工事をどう管理するかを示します。
施工要領書
鉄筋業者などの専門工事業者が作成する、作業手順寄りの書類です。施工計画書に添付したり、内容を引用したりする形で使われることが多いです。
ヤマダ注意したいのは、業者の施工要領書と、元請が出す施工計画書の内容に食い違いがある場合です。
継手の方法、かぶり厚さ、検査の頻度などが食い違っていると、ほぼ確実に指摘されます。どちらかに合わせて、提出前に突き合わせておきましょう。
記載項目(章立て)の一覧
鉄筋工事の施工計画書は、おおむね次の構成です。
- 総則(適用範囲・適用図書)
- 工事概要(工事名・工事場所・工期・対象部位・構造種別)
- 施工管理体制(鉄筋業者・圧接業者を含む組織表)
- 使用材料(種類・径・製造所・規格証明書)
- 加工・組立(加工帳、かぶり厚さ、スペーサー)
- 継手・定着(重ね継手/ガス圧接継手/機械式継手)
- 検査(材料受入、配筋検査、継手部の検査)
- 保管・運搬
- 安全管理
根拠になるのは、公共建築工事標準仕様書(公共工事の場合)、JASS5、特記仕様書です。特記仕様書の指定が優先されるのが一般的なので、継手の方法や検査の方法は特記仕様書から先に確認してください。
記入例:差がつく4項目
[ ]の部分は、特記仕様書・設計図書に合わせて記入してください。
使用材料
- 使用材料
4-1 鉄筋
種類:[SD295/SD345 等] 径:[D10〜D25 等]
製造所:[ ]
規格証明書(ミルシート):搬入ごとに受領し、
現品の圧延マークと照合のうえ保管する
規格証明書は受け取るだけでなく、現品と照合した記録を残す前提で書いておくと、検査のときに慌てません。
継手
- 継手・定着
6-1 継手の方法:[重ね継手/ガス圧接継手/機械式継手](特記仕様書による)
6-2 ガス圧接
施工業者:[ ]
圧接技量資格者:[資格種別・氏名](資格証の写しを添付)
検査:外観検査(全数)、[超音波探傷試験 等]([ ]による)
圧接の技量資格者は、一般に日本鉄筋継手協会の技量資格が求められるとされています。資格種別と氏名、資格証の写しをセットで管理しておくのが基本です(適用する最新の仕様書・特記仕様書で確認すること)。
かぶり厚さとスペーサー
- 加工・組立
7-1 かぶり厚さ:別添「かぶり厚さ一覧表」による(部位ごとに記載)
7-2 スペーサー:
部位:[基礎・柱・梁・壁・スラブ]
材質・形状:[鋼製/コンクリート製 等]
配置間隔:[ ](特記仕様書による)
ここは部位ごとの一覧表にしておくのがおすすめです。理由は次の節で説明します。
配筋検査
- 検査
9-1 配筋検査
検査時期:[各階・各部位のコンクリート打込み前]
検査者:[自主検査 → 監督員・工事監理者の検査]
検査項目:鉄筋の種類・径・本数・間隔、かぶり厚さ、継手・定着、スペーサー
記録:工事写真および配筋検査チェックリスト
現場監督のコツ:写真とチェックリストを前提に書く
鉄筋は「写真を撮ること」を前提に書く
鉄筋はコンクリートを打ったら二度と見えません。だからこそ、施工計画書を書く段階で「この項目は、どの写真で証明するか」まで考えておくと、未来の自分が楽になります。
たとえば、使用材料の章に書いた規格証明書の照合、継手の章に書いた圧接の資格者、かぶり厚さの章に書いたスペーサー。これらは全部、工事写真で証明することになる項目です。



鉄筋はとにかく写真が大事。写真を撮ることを前提に計画書を書いておくと、自分でも整理出来るので便利です。
ちなみに、圧接の資格者を現場で撮影するときは、防護眼鏡を外してから撮るのが基本です。本人確認できる写真でないと意味がないからです。細かいことですが、計画書に「資格者の確認写真を撮影する」と書いておくなら、撮り方まで意識しておきましょう。
かぶり厚さとスペーサーは、そのままチェックリストに使える形にする
前の節で、かぶり厚さとスペーサーを部位ごとの一覧表にしておくことをおすすめしました。これは、施工計画書の一覧表が、そのまま配筋検査のチェックリストになるからです。
計画書は提出したら終わり、ではなく、検査で使う道具にしてしまう。そうすると、自主検査のときに計画書を見返すだけで確認項目がそろいます。
施工要領書と突き合わせてから提出する
冒頭でも触れましたが、業者の施工要領書との食い違いは指摘の定番です。特に次の項目は、提出前に並べて確認しておきましょう。
- 継手の方法と位置
- かぶり厚さ
- スペーサーの材質・配置
- 検査の方法と頻度
よくある質問
- 鉄筋工事の施工計画書は誰が作成するのですか?
-
一般に、元請の施工者が作成し、監督員や工事監理者の承諾を受けます。鉄筋業者が作成する施工要領書は、添付資料として組み込むことが多いです。
- エクセルで作成できますか?
-
作成できます。日建連関西支部などがExcel形式のひな形を公開しています。当ブログでも無料テンプレートを紹介しています(→ 無料配布テンプレート一覧)。
- 作成を外注すると費用はどれくらいですか?
-
作成代行サービスもありますが、費用は工事の規模や内容によって幅があります。鉄筋工事の施工計画書は現場固有の情報が中心になるため、社内で作成するケースが多いのが実情です。
下書きを早く作るなら:施工計画書ジェネレーター
ひな形を開いて一から埋めるのが面倒なら、当サイトで制作した施工計画書ジェネレーターで下書きを作るのも手です。
工事名・工事場所・対象部位などを入力すると、コンクリート工事の施工計画書のドラフトを自動で作成します。空欄の項目は勝手に埋めず「※要確認」として出力されるので、確認すべき箇所がひと目でわかります。
無料版で試せます。Word出力や入力内容の保存が必要な方は製品版も用意しています。


まとめ
- 施工計画書は元請、施工要領書は専門工事業者。両者の食い違いは提出前に解消しておく
- 鉄筋は打込み後に見えなくなるので、写真で証明することを前提に書く
- かぶり厚さとスペーサーは部位ごとの一覧表にして、配筋検査のチェックリストとして使う
コンクリート工事の施工計画書はこちら。


施工計画書の全体的な作り方はこちらからどうぞ。




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