工程表を作るとき、前の現場のファイルをコピーして日付を打ち直す。土日に色を塗り直す。バーの長さをセルで数えて伸ばす。工程が1週間ずれたら、また全部やり直し。
こういう作業に毎回時間を取られていないでしょうか。
自分は現場監督を20年やっていて、今は公共施設の小規模な改修工事が中心です。工程表は着工前に出して、途中で実施工程表を出して、と年に何度も作ります。そのたびに手で直していたら、定時に帰れるわけがありません。
この記事では、現場で実際に使っている形をもとに、次のことをまとめました。
- 全体・月間・週間工程表の使い分け
- 学校の改修工事で工程を組むときのポイント
- 公共工事の実施工程表で必要になる「週休2日の閉所率」の計算
- エクセルで工程表を自動化する作り方
日付やバーが自動で入る無料テンプレートも配布しています。すぐ使いたい方は、目次から「無料テンプレート」に飛んでください。
工程表とは
工程表は、工事の作業を「いつからいつまで」「どの順番で」やるかを一枚にまとめた表です。
発注者に工期内に終わることを示す書類であり、協力業者に「いつ来てほしいか」を伝える道具でもあります。そして何より、監督自身が段取りを考えるための表です。
工程表をきちんと組んでおくと、材料の発注時期や業者の手配が前倒しで見えてきます。逆に工程表がふわっとしていると、毎日「明日誰が来るんだっけ」と電話をかけることになります。
工程表は「全体・月間・週間」の3つを使い分ける
工程表と一口に言っても、現場では見る期間の長さで3種類を使い分けます。
| 種類 | 見る期間 | 主な使い道 | 誰が見るか |
|---|---|---|---|
| 全体工程表 | 着工〜引渡しまで | 工期全体の流れ、発注者への提出 | 発注者・監理者・社内 |
| 月間工程表 | 1か月 | 業者の手配、材料の発注時期 | 協力業者・社内 |
| 週間工程表 | 1〜2週間 | 毎日の作業・人員・搬入の調整 | 職人・現場 |
順番は、まず全体工程表で大きな流れを決め、そこから月間、週間と細かくしていきます。全体が雑なまま月間・週間を細かく作っても、後半で必ず無理が出ます。
全体工程表は週単位で作るのが一般的と言われます。ただ、公共施設の小規模な改修のように工期が2〜3か月なら、全体工程表も1日1マスで作ることが多いです。日単位でもA3横1枚に収まります。そのうえ、後で実施工程表を出すときに同じ表へ実績を書き足すだけで済むので楽です。
バーチャートとネットワーク工程表
工程表の書き方には、大きく分けて2つあります。
- バーチャート工程表:横軸に日付をとり、作業ごとに横棒を引く形。ひと目でわかるので、現場で使う工程表のほとんどはこれです。
- ネットワーク工程表:作業のつながりを矢印で表す形。どの作業が遅れると全体が遅れるか(クリティカルパス)がわかります。大規模な工事で使われます。
小規模な工事なら、バーチャートで十分です。この記事のテンプレートもバーチャートです。
改修工事の工程表の見本|学校の夏休み工事の場合
新築と違って、改修工事は建物を使いながら工事をするのが難しいところです。特に学校は、授業がある期間とない期間で、できる作業がまったく変わります。
「何日かかるか」「どんな順番か」は工事の内容で変わるので、一概には言えません。それでも、どの工事にも共通する押さえどころはあります。

解体は、長期休みの間に確実に終わらせる
解体はどうしても大きな音が出ます。授業中にやれば確実に邪魔になります。学校にはテストや式典などの行事が多くあるため、「この日は音を出さないで欲しい」と頼まれる事も多々あります。
夏休み・冬休み・春休みのどこかに入れて、休みのうちに終わらせる。工程を組むときは、まず解体の位置を決めてから、前後をつなげていきます。
内部に足場を組むなら、長期休みか土曜日に
教室や廊下の中に足場を組む工事は、生徒がいる期間だと動線の確保などで制限がかかります。組立と解体は、長期休み中か土曜日に入れたほうがスムーズです。
学校行事を工程表に書き込んでおく
終業式・始業式・入学式・卒業式など、学校の行事は事前に確認して工程表に書き込んでおきます。行事の日は作業できない、または音の出る作業はできない、ということがよくあります。後から知って工程を組み直すのが一番もったいないです。
引渡し前の「清掃」の日を入れ忘れない
意外と多いのが、引渡し前の美装・清掃の日を工程表に入れていないケースです。仕上げが終わった翌日に検査、という工程を組んでしまい、最後にバタバタします。
美装・清掃→社内検査・手直し→竣工検査。この流れを最初から工程表に入れておきましょう。
公共工事の実施工程表|週休2日の「閉所率」も求められる
公共工事では、工事の途中で実施工程表を出すことがあります。予定に対して、実際どこまで進んだかを示す工程表です。
実施工程表で指摘されやすいのが、週休2日(4週8休)の指定がある工事です。工程の進み具合だけでなく、現場をどれだけ休み(閉所)にしたかも計算して示す必要があります。
閉所率の計算方法
閉所率は次の式で出します。
閉所率 = 現場閉所日数 ÷ 対象日数
4週8休なら、28日のうち8日を閉所するので、目安は約28.5%です。
たとえば、対象期間が80日で、閉所予定が23日なら、23÷80=28.75%で達成です。
対象日数は、工期のうち週休2日の対象になる日数です。年末年始や夏季休暇など、発注者の基準で対象から外す期間があります。祝日やゴールデンウィークを閉所に数えるかどうかも、発注者や工事によって扱いが違います。必ず特記仕様書で確認してください。
工程表の下に、月ごとの確認表をつけておく
実務では、工程表の下に月ごとの「予定の閉所日数」と「実際の閉所日数」を並べた確認表をつけて出します。

見るべきは、月ごとではなく累計で28.5%を超えているかです。ある月に雨で作業が押して閉所が足りなくても、次の月で取り戻せば累計で達成できます。逆に、毎月少しずつ足りないまま進むと、工期の終盤で取り戻せなくなります。
工程表の無料テンプレート
ここまでの内容を、そのまま使えるエクセルにしました。2種類あります。
① 実施工程表テンプレート(日単位・週休2日の閉所確認つき)
公共工事の全体工程表・実施工程表として、そのまま出せる形です。
- 工期を入れると、3か月分の日付と曜日が自動で並ぶ
- 開始日・終了日を入れるとバーが自動で表示(日曜・祝日はグレー、土曜は薄い青)
- 学校行事など「作業できない日」を書き込む行つき
- 閉所予定の行には土日祝に自動で「休」が入る。実際に閉所した日に「休」を入れると、月ごと・累計の閉所率が自動で出る
- 予定・実施の進捗率グラフつき
- A3横1枚で印刷。実施進捗と閉所実績を空欄にすれば、全体工程表として使える
ヤマダ例として、学校の夏休み改修工事の工程を入れてあります。
※Excel専用です(Googleスプレッドシートでは一部の色付けが動きません)。
② 月間工程表テンプレート
1か月分を細かく見て、業者の手配や材料の発注に使う工程表です。
- 年月を入れると、日付と曜日が自動で並ぶ
- 土日祝の色付け、工種のプルダウンつき
- A3横で印刷
【実務版】エクセルで工程表を作る4STEP
エクセルで工程表を作る手順
ここからは、テンプレートの仕組みを知りたい人や、自分の現場に合わせて一から作りたい人向けの解説です。
上で配布している月間工程表テンプレートの作り方を紹介しますが、自作はせずにテンプレートを使うだけなら読み飛ばしても大丈夫です。
STEP1:横軸(日付・曜日)を自動化する
日付は手入力せずに自動で入力されるようにします。
例:
開始日セル(B1)に
2026/4/1


C1セルに以下を入力:
=B1+1
横にコピー。


曜日表示:
=TEXT(B1,"aaa")


土日自動色分け(条件付き書式)
条件付き書式 → 数式を使用
土曜:
=WEEKDAY(B$1,2)=6
日曜:
=WEEKDAY(B$1,2)=7






祝日自動反映(編集可能設計)
別シートに祝日一覧を作成(例:Sheet2 A列)
条件付き書式:
=COUNTIF(Sheet2!$A:$A,B$1)>0
※祝日シートを更新すれば翌年も対応可能。



公共工事等で祝祭日が休工になる現場では設定しておくと便利です
STEP2:縦軸(工種)を整理する
基本構成例:
- 仮設
- 基礎
- 躯体
- 屋根
- 外装
- 内装
- 設備
- 仕上げ
ポイント:
✔ 現場の流れ順に並べる
✔ 表記ゆれを防ぐ
✔ プルダウン化(データの入力規則)でミス削減
STEP3:バーを自動描画する(最重要)
開始日:B3
終了日:C3


バー描画範囲(例:D3〜AH3)に条件付き書式:
=AND(D$1>=$B3,D$1<=$C3)
塗りつぶし色を設定。


これで、開始日と終了日を入力するだけでバーが伸びます。





※手動塗りつぶしは絶対NG。工程変更で地獄を見ます。
STEP4:バッファ(予備日)を戦略的に入れる



実践的な工程表にするための「違い」を出せるのはここ
入れるべき場所
- 外装工事前後(雨天予備)
- コンクリート養生
- 職人乗り込み前後
- 材料搬入直後
目安
- 外部工事:2〜3日
- 躯体後工程:1〜2日
- 重要マイルストーン前:最低1日
入れすぎるとダレるし、入れないと破綻する。このバランスがいつも頭を悩ませるポイントです。
▶ 作業員名簿・工程表など、ほかのテンプレートは建設書類テンプレート一覧【無料配布】 からどうぞ
工程表をエクセルで作るメリット・デメリット
メリット
- 無料で作成可能
- 誰でも開ける
- カスタマイズ自由
- 印刷調整がしやすい
デメリット
- 数式設計に慣れが必要
- 条件付き書式が難しい
- 印刷設定でつまずきやすい



だからこそ、設計されたテンプレートを使うのが最短ルートです。
工程表づくりでよくある失敗
余裕(バッファ)を入れていない
雨、材料の納期遅れ、追加工事。現場は予定通りに進まないものです。全部の作業をぴったり詰めた工程表は、どこか一つずれた瞬間に全体が崩れます。
検査の前や、天候に左右される作業の後には、数日の余裕を入れておくと安心です。
業者や材料の都合を確認していない
工程表上では空いていても、協力業者が別の現場で埋まっていることはよくあります。特注品の納期が思ったより長いこともあります。
組む前に、主要な業者の予定と、納期のかかる材料は一度確認しておきましょう。
清掃・検査の日がない
先ほども書きましたが、本当に多い失敗です。仕上げの後に、美装・清掃、社内検査・手直し、竣工検査の日を必ず入れておきます。
よくある質問
- 全体工程表と月間工程表、どちらから作ればいいですか?
-
全体工程表が先です。解体をいつ終えるか、検査をいつにするか、といった大きな流れを決めてから、月間工程表で日単位に落とし込みます。
- 週休2日の閉所率は、月ごとに28.5%を超えないといけませんか?
-
基本は工期全体(累計)で判断されることが多いです。ただ、扱いは発注者によって違います。特記仕様書で確認したうえで、工程表の下の確認表で累計の閉所率を追いかけておくと安心です。
- 工期が3か月を超える場合はどうすればいいですか?
-
実施工程表テンプレートは3か月分を1枚に収めています。それより長い工事は、シートをコピーして、2枚目の工期の開始日を4か月目の1日にしてください。
- Googleスプレッドシートでも使えますか?
-
月間工程表はスプレッドシート版も用意しています。実施工程表は、別シートの祝日一覧を使う色付けがスプレッドシートでは動かないため、Excel専用です。
まとめ
工程表は、一度仕組みを作ってしまえば、次の現場からは日付を入れるだけになります。
- 全体工程表で大きな流れを決めてから、月間・週間に落とし込む
- 改修工事は、解体・足場を長期休みに、清掃・検査の日を忘れずに
- 週休2日の工事は、閉所率を累計で追いかける
毎回の手直しに使っていた時間を、少しでも早く帰る時間に回してもらえたらうれしいです。






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