施工計画書、どう作ってますか?
工事のたびに作ることになる「施工計画書」。皆さんは、どのように作っていますか?
過去の工事データを探して、同じ工種の施工計画書を開き、今回用に微修正する。
難しいことをしているわけではないのに、なぜか時間がかかる。
「施工計画書の作り方」や「施工計画書 テンプレート」と検索したことがある人も多いのではないでしょうか。
本当は早く書き終えて、図面を読み込んだり、職人の段取りを組んだりする時間に使いたい。
できれば残業せずに、定時で帰りたい。
それなのに、気づけば夕方。書類に一日を持っていかれる。
施工計画書作成に時間がかかる原因は、能力不足ではありません。
「型」が決まっていないことです。
この記事では、施工計画書の基本構成・効率的な作り方・実際の作成例・Word・Excel・Google対応の無料テンプレートをまとめて解説します。
ヤマダ施工計画書をテンプレ化し、考える量を減らし、残業を減らす。それがこの記事のゴールです。
施工計画書とは?
施工計画書とは、工事をどのように進めるかを事前にまとめた計画書です。
公共工事・民間工事を問わず、多くの現場で提出や説明が求められる重要書類です。
主にまとめる内容は、
- 工程計画
- 安全管理計画
- 品質管理計画
- 施工体制
- 緊急対応
などです。
これらを一冊にまとめることで、発注者・監督員・現場スタッフ全員が「どう動くか」を共有できます。
なぜ、そこまで文書化が必要なのでしょうか。
現場は、計画通りに進まないことが前提だからです。
天候、資材遅延、職人の手配、予期せぬトラブル。
想定外は必ず起こります。
だからこそ、「最初にどう動くつもりだったか」を明文化しておくことが重要です。
施工計画書は、トラブル発生時の判断基準になり、検査や監査の場では根拠資料として機能します。
公共工事と民間工事の違い
公共工事では、発注者から様式や記載項目が指定されることが多く、提出・承認が必須となります。
記載内容の精度も厳しく求められます。
一方、民間工事では様式が自由な場合もあり、元請けの社内ルールや発注者との取り決めで決まります。



いずれにせよ、「誰が見ても現場の動きが分かる」状態にすることが、施工計画書の本質的な目的です。
施工計画書の基本構成(まずは型を押さえる)
施工計画書には、ほぼ共通した「型」があります。
この型を押さえておけば、現場が変わってもゼロから悩む必要がなくなります。
工事概要
工事名・工期・施工場所・発注者・元請け・施工者などの基本情報をまとめる章です。
契約書・設計図書と必ず一致させることが重要です。
工程計画
全体工程表(バーチャートやネットワーク工程表)をもとに、工種の順番・施工期間・重なり・予備日を示します。
季節要因、天候リスク、資材納期などを考慮しているかがチェックポイントです。
安全管理計画
危険箇所の洗い出し・KY活動の方針・安全教育計画・緊急連絡体制をまとめます。
公共工事では特に重要視される章で、ここを薄く書くと後で必ず指摘が入ります。
品質管理計画
使用材料の基準・検査のタイミング・管理値(設計値・許容誤差)を数値で明記することが重要です。
写真管理の方針もここで触れておくと、後の写真台帳作成がスムーズになります。
施工体制
組織図・責任者・連絡体制をまとめます。「誰が何を決めるか」が一目でわかる状態が理想です。



この5章が揃えば、施工計画書の骨格はほぼ完成します
現場ごとに章を足したり順番を調整したりはしますが、この型から外れることはほとんどありません。
無料テンプレート配布(Word・Excel・Google対応)
本記事で紹介した構成をもとに、実際に使える施工計画書テンプレートを用意しました。
施工計画書テンプレート
- Word版
- Googleドキュメント版
公共工事の場合は発注者指定様式を優先してください。
公共工事の場合は発注者指定様式を優先してください。
テンプレの正しい使い方
施工計画書のテンプレを探している人の多くは、「空欄を埋めれば完成する便利なひな形」を求めています。
でも、それだと毎回同じ落とし穴にはまります。
テンプレは「埋めるもの」ではなく「削るためのもの」
本来、テンプレは「最大公約数の状態」で作るべきものです。
つまり、あらゆる現場に必要そうな項目を全部入れた状態を起点にして、
「この現場に不要な項目を削る」という使い方が正しい。
埋める前提で作ると、現場に合わない項目もとりあえず埋めようとします。
結果、内容が薄い記述が並ぶ書類ができあがり、監督員からの指摘も増えます。
削る前提で作ると、「この項目は本当にこの現場に必要か?」を自然と考えるようになります。
残った項目だけで構成された計画書は、それだけで密度が上がります。
テンプレはゼロから書くための道具ではなく、考える量を減らして判断に集中するための道具です。
この思想を持つだけで、計画書の質と作成スピードが同時に上がります。
作成例(コンクリート工事)
実際にどう書くか、「コンクリート工事」を例に、各章の記載イメージを見てみましょう。
工事概要(記載例)
- 工事名:○○ビル新築工事(躯体工事)
- 工期:20XX年4月1日〜20XX年11月30日
- 施工場所:△△市□□町地内
- 発注者:株式会社◎◎不動産
- 元請:株式会社◎◎建設
ポイントは契約書と一字一句合わせること。



工事名の括弧書き(躯体工事、RC工事など)も、契約書の表記をそのまま使うのが無難です。
工程計画(記載例)
全体工程表で各階の打設スケジュールを示した上で、以下のような注記を入れると監督員の印象が変わります。
夏季(7〜8月)の打設は、コンクリートの品質確保のため早朝施工を基本とする。気温35℃以上が予想される日は打設を中止し、予備工程として5日分を確保。
「何を考えて工程を組んだか」が伝わる一文があると、計画書としての説得力が増します。
品質管理計画(記載例)
コンクリートの品質管理は、JASS 5(建築工事標準仕様書)に基づき実施する。
- 設計基準強度:Fc24
- スランプ:18cm(許容値±2.5cm)
- 空気量:4.5%(許容値±1.5%)
打設ごとに受入検査(スランプ・空気量・塩化物量・圧縮強度試験)を実施し、結果は写真とともに記録する。
管理値を具体的な数字で書くことで、「きちんと確認している」という姿勢が伝わります。
写真管理の方針もあわせて一言触れておくと、後の台帳作成がスムーズになります。
よくあるミス集
「ちゃんと作ったつもりなのに監督員から指摘が入る」という経験がある人は、
以下のミスを踏んでいることが多いです。
工事名が契約書と微妙に違う
最も多いのが、工事名の表記ゆれです。
- 「新築工事」と書くべきところを「建設工事」にしてしまう
- 括弧書きの工種名が抜けている
といったミスが起こりがちです。
施工計画書の工事名は、契約書・設計図書と一字一句一致しているかを必ず確認しましょう。
工程が甘くて突っ込まれる
「この工程、本当に間に合いますか?」という指摘は、
- 予備工程がない
- 季節リスクへの言及がない
- 工種の重なりを考慮していない
いずれかのケースがほとんどです。



工程計画には「なぜこの組み方にしたか」の根拠を一行入れるだけで、指摘がぐっと減ります。
安全計画が抽象的すぎる
「安全に努める」「注意を払う」といった表現だけでは不十分です
「どの場所が危険か」「いつ・誰が・何をするか」
が読み取れる具体性が必要です。
危険箇所を箇条書きにして、対応策とセットで書く形にすると通りやすくなります。
品質管理の数値が曖昧
「適切な品質を確保する」という書き方は、ほぼ確実に指摘されます。
- 管理値(設計値・許容誤差)
- 検査頻度
- 判定基準
を数字で明記することが最低ラインです。仕様書や基準に記載されている数値をそのまま引用する形でも構いません。
公共工事での注意点
公共工事の施工計画書は、民間工事と比べて求められる精度が全体的に高くなります。
特に以下の3点は、事前に確認しておきましょう。
発注者指定様式の扱い
発注機関によっては、施工計画書の様式が指定されています。
この場合、自社テンプレをそのまま使うのはNGです。
指定様式の構成・項目名・記入順を優先し、
自社テンプレはあくまで記入内容の下書き用として活用しましょう。
変更時の差し替え方法
工期延長や工法変更が生じた場合、施工計画書を改訂して再提出が必要になることがあります。
改訂版には改訂番号と改訂日を明記し、変更箇所がわかるようにしておくのが基本です。
「最初に出したきり更新していない」という状態は、検査時に大きなリスクになります。
承認フロー
提出先・承認者・承認にかかる日数を工程計画に織り込んでおきましょう。
「提出したら翌日から着工できる」という想定で動くと、承認待ちで工程が詰まることがあります。
余裕を持ったスケジュールが現場を守ります。
作成時間の削減試算
「テンプレを整備する時間が取れない」という声もあるでしょう。
でも数字で見ると、話が変わります。
施工計画書の作成に1回あたり平均2時間かかっているとします。
年間15件の現場があるとすれば、それだけで年間30時間です。
残業換算すると、まるっと4日分近い時間が施工計画書に消えている計算になります。
テンプレを整備する時間は、最初の1回だけ3〜4時間あれば十分です。
2件目以降は差し替えと削除だけになるため、作成時間は1時間以下に短縮できます。
2件目から元が取れる、というのが現実的な試算です。
「いつか整備しよう」と思っているうちに、今年も30時間が消えます。
PDF提出でよくあるトラブル
施工計画書が完成したら、提出は紙またはデータが一般的です。
データ提出の場合はほぼPDFが求められますが、ここで地味に詰まるポイントがいくつかあります。
ページ順と結合
複数ファイルを1つにまとめる際、順番ミスが頻発します。無料ツールでも結合は可能ですが、ページの並び替え・削除・差し替えを頻繁に行う場合は専用ソフトの方が効率的です。Adobe Acrobatを使えば、ドラッグ操作で直感的に編集できます。
容量とデータ形式
施工計画書そのものは文章中心のため、通常はそれほど容量が重くなることはありません。ただし、参考図面をそのままPDF添付した場合、CAD図面を高解像度のまま挿入した場合、材料カタログを丸ごと添付した場合などは、ファイルサイズが大きくなることがあります。提出前に容量を確認する習慣をつけておきましょう。
電子署名
発注者によっては電子署名が許可されているケースがあります。対応している場合はAdobe Acrobatから直接署名を付与できるので、提出前に要件を確認しておくとスムーズです。
クラウド管理で「最終_最終地獄」をなくす
施工計画書はバージョン管理が命です。
「施工計画書_v3_最終.pdf」「施工計画書_v3_最終_修正済.pdf」——
この”最終_最終地獄”は、クラウド管理で回避できます。
Google Driveなどのクラウドストレージでは、変更履歴が自動保存されます。
Google Workspaceのドキュメントやスプレッドシートを使えば、
- 同時編集
- 変更履歴の確認
- テンプレ共有
が可能になります。



テンプレをクラウドで一元管理するだけで、「あのテンプレどこ?」という時間が消えます。
FAQ
施工計画書についてよく聞かれる質問をまとめました。
Q. 手書きでもOKですか?
A. 法令上、手書きを禁止する規定はありません。
ただし公共工事では電子納品が求められるケースが増えており、最初からデータで作成しておく方が後の手間が減ります。
Q. 用紙サイズはA4指定ですか?
A. 発注者から指定がある場合はそれに従います。
指定がない場合はA4縦が一般的ですが、工程表など横長の図面が含まれる場合はA3混在や折り込みで対応することもあります。
Q. 印鑑は必要ですか?
A. 発注者や元請けのルールによります。
公共工事では会社印・代表者印が求められるケースもあるため、提出前に確認しましょう。
電子データ提出の場合は電子署名で代替できる場合があります。
Q. 電子納品に対応できますか?
A. 国土交通省の電子納品要領に準拠した形式(PDF/A等)での提出が求められる場合があります。
使用するソフトがそのフォーマットに対応しているか、事前に確認しておくのが安全です。
まとめ
施工計画書で消耗しないために、覚えておくことは3つだけです。
型を作る。
基本の5章構成を自分の現場に合わせてカスタマイズしたら、それが自分の型になります。
次の現場からはその型を起点に動けます。
削る。
テンプレは埋めるためではなく、削るためにあります。
不要な項目を落とすだけで、書類の密度と作成スピードが同時に上がります。
早く帰る
施工計画書を早く仕上げることは、定時に帰るための最初の一手です。
型と削る思想が身につけば、計画書作成に丸一日かかることはなくなるはずです。






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