再下請負通知書の書き方を調べると、制度の説明はたくさん出てきます。
でも、この書類で本当に知りたいのは「どう書けば一発で通るか」ではないでしょうか。
私は現場監督として20年、この書類を「受け取って審査する側」をやってきました。協力会社さんから出てきた通知書をチェックし、不備があれば差し戻す立場です。
だからこそ、どこで引っかかるか、どの欄が空欄になりがちかを知っています。
この記事では、様式の左側・右側それぞれの書き方、二次下請・三次下請・一人親方・変更届のパターン別記入例、そして元請監督が実際に差し戻すポイント7つまで解説します。
ヤマダ書いて出す側の方が、一発で通る書類を作れるようになることがゴールです。
再下請負通知書とは:いつ・誰が・誰に出す書類か
再下請負通知書は、一次下請以下の会社が、自分のさらに下に工事を発注したときに、元請へ報告する書類です。
全建統一様式第1号-甲が事実上の標準様式になっています。
誰が作成する?
再下請負契約を結んだ会社(注文した側)です。二次下請に出した一次下請、三次下請に出した二次下請が、それぞれ作成義務を負います。
元請や、下請に出していない会社は作成しません。
いつまでに提出する?
再下請負契約を締結したら遅滞なく、直近上位の注文者経由または元請へ提出します。
実務では、下請会社が現場に入る前(新規入場時教育まで)に揃っているのが望ましい形です。



着工後に慌てて集めると、グリーンファイル一式の不備が安全パトロールで指摘される、よくあるパターンになります。
提出が必要になる現場の条件
- 公共工事:金額にかかわらず、下請契約を結んだらすべての現場で必要
- 民間工事:元請が特定建設業者で、下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の現場
※この金額要件は近年改正されています(2025年2月に引き上げ)。この記事は2026年7月時点の基準で書いていますが、提出要否の最終判断は現場の元請ルールと最新の国交省情報を確認してください。



実務上は、金額にかかわらず全現場で提出を求める元請が多数派だと思います。
様式の入手先
全建統一様式第1号-甲は、各都道府県の建設業協会や元請各社の安全書類ページで配布されています。
元請によっては独自様式や電子システム(グリーンサイト等)を指定している場合があるので、まず現場の元請に「どの様式・どの提出方法か」を確認するのが最短ルートです。指定がなければ全建統一様式で問題ありません。
無料テンプレート配布
このブログでも全建統一様式に準じたシンプルなテンプレートを配布しています。
下のセクションで出てくるスクリーンショットは自作テンプレートを素に撮影しているので、ダウンロードして書けば説明を参考にそっくりそのまま使えます。



ダウンロードが上手くいかない場合はZip版を試してみてください


様式は大きく左右に分かれています。左側=自社(通知人)のこと、右側=発注先(再下請負業者)のこと。この構造を押さえるだけで、書き間違いの半分は防げます。
左側「自社に関する事項」の書き方


左側は、この通知書を書いているあなたの会社の情報です。つまずきやすい欄に絞って解説します。
直近上位 注文者名
自社に工事を発注してくれた会社です。一次下請なら元請名、二次下請なら一次下請の会社名。元請名を書いてしまう間違いが多い欄です。
建設業の許可
施工に必要な業種の許可を書きます。ポイントは「持っている許可を全部書く」のではなく、この工事の施工に必要な業種を書くこと。電気工事を請けたなら電気工事業の許可です。
工事名称及び工事内容
注文書・契約書の記載と一致させます。ここが契約書類と食い違うと確実に指摘されます。
契約日
注文書・注文請書の日付です。着工日より後の契約日はNG(後述の差し戻しポイント参照)。
主任技術者名・資格内容
資格内容欄は「一級電気工事施工管理技士」のように具体的に。実務経験で配置する場合は「実務経験10年(電気工事業)」と業種まで書きます。「実務経験」とだけ書かれた通知書は、審査側からすると確認のしようがなく、差し戻し対象です。



実務経験の経歴書の提出が必要になるので用意しておきましょう
安全衛生責任者名・雇用管理責任者名
小規模な会社では主任技術者との兼任は普通にあります。兼任自体は問題ないので、空欄にせず同じ名前を書いてください。空欄=未選任と見なされます。
一号特定技能外国人等の従事状況
該当がなければ「無」に丸。ここも空欄のまま出てくることが多い欄で、「無」の明示と空欄は審査上まったく別物です。
右側「再下請負関係」の書き方:一番差し戻される場所


右側は、自社が発注した先(再下請負業者)の情報です。検索してもここを丁寧に解説した記事が少なく、実際、差し戻しが最も多いのもこの右側です。
再下請負業者の会社名・住所・電話番号
発注先の会社情報。見積書や請書の社判から転記すれば確実です。
工事名称及び工事内容
自社が請けた工事のうち、再下請に出す部分を書きます。左側の工事内容をそのままコピーするのは間違いで、左が「電気設備工事一式」なら右は「配管・配線工事」のように、切り出した範囲になるはずです。左右が完全に同文だと「丸投げ(一括下請負)では?」という目で見られます。



ここは法律上も重大な論点なので、書き分けは必ず。
契約日
再下請負契約の注文書の日付。左側の契約日(自社が請けた日)より前になっていたら時系列が破綻しています。自分が請ける前に下請へ発注したことになるからです。
建設業の許可
再下請負業者の許可情報。許可のない業者に500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事は出せないので、ここが空欄だと契約金額との整合を確認されます。
さらに下(三次以降)がいる場合
再下請負業者にも同じ様式を書いてもらい、重ねて提出します。通知書は「契約の階層1段につき1枚」が原則です。
パターン別記入例
二次下請の場合(最多パターン)
一次下請(みどり電気工事)が二次下請(かわだ設備)に出すケース。直近上位=元請(青空建設)、左側=みどり電気、右側=かわだ設備。上の画像2・3がこのパターンです。
三次下請がいる場合
二次下請(かわだ設備)が三次に出すなら、かわだ設備が新たに1枚作成します。直近上位=みどり電気、左側=かわだ設備、右側=三次の会社。「1契約1枚」の原則どおり、通知書は2枚になります。三次の分をみどり電気がまとめて書く、はできません。
一人親方の場合


発注先が一人親方でも、請負契約なら通知書は必要です。書き方の要点は3つ。
- 会社名欄は屋号があれば屋号+氏名(さくら内装 佐藤一郎)、なければ氏名のみ
- 建設業の許可欄は、無許可なら空欄ではなく「なし」と明示(500万円未満の軽微な工事なら無許可でも適法です)
- 主任技術者欄は本人名。資格がなければ実務経験を業種付きで
なお、その働き方が請負ではなく実態として雇用(日給で指揮命令下にある等)なら、そもそも通知書ではなく作業員名簿に載せる話になります。偽装請負の論点なので、迷ったら契約形態から整理してください。
変更届の場合




工期延長・契約金額変更・技術者交代などがあったら、様式右上の「変更届」に丸をつけて変更後の内容で再提出します。変更箇所だけ書けばいいのか全部書くのかは元請ルールで割れますが、全項目記入+変更箇所がわかるようにしておくのが無難です。
出し忘れが最も多いのは工期延長。竣工が2週間ずれただけでも、書類上の工期を過ぎて作業員が現場にいる状態は、労災が起きたとき致命的な矛盾になります。
元請監督が実際に差し戻すポイント7つ


受け取る側として、私が実際に差し戻してきた頻出パターンです。提出前のセルフチェックに使ってください。
- 契約日の時系列破綻:右側の契約日が左側より前/契約日が着工日より後
- 左右の工事内容が同文:一括下請負を疑われる書き方。右側は切り出した範囲で
- 許可業種と工事内容のズレ:内装工事なのに、とび・土工の許可だけ書いてある等
- 資格内容が「実務経験」だけ:年数と業種まで書く
- 安全衛生責任者・雇用管理責任者が空欄:兼任でいいから名前を入れる
- 外国人従事状況の空欄:該当なしなら「無」に丸。空欄は未記入扱い
- 変更届の出し忘れ:特に工期延長。作業員名簿や施工体制台帳との不整合もここから生まれます



7つに共通するのは、書類単体ではなく注文書・作業員名簿・施工体制台帳との整合で見られているということです。審査側は突き合わせで見ています。
施工体制台帳との関係
再下請負通知書は単独の書類ではなく、元請が作る施工体制台帳の材料です。
皆さんの通知書をもとに、元請は施工体制台帳と施工体系図を作成しています。だから記載の矛盾に元請が敏感なわけです。施工体制台帳側の仕組みは、別記事で解説しています。




よくある質問
- 提出しないとどうなりますか?
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直接の罰則の前に、実務上は「下請会社が現場に入れない」が先に来ます。新規入場を止められて工程に穴が開く方が、よほど痛いはずです。
- エクセルで作ってもいいですか?
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全建統一様式に準拠していれば問題ありません。元請が電子システム(グリーンサイト等)指定の場合はそちらに従います。
- 押印は必要ですか?
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全建統一様式は押印欄廃止の方向で改訂されていますが、元請によっては社判を求める運用が残っています。現場の元請ルールに合わせるのが正解です。
- 下請に出さない(自社施工のみ)場合は?
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再下請負契約がなければ通知書は不要です。その場合も、元請から「再下請なし」の申告を別途求められることがあります。
まとめ:通る書類は「整合」でできている
再下請負通知書で見られているのは、個々の欄の正しさ以上に、契約書類・名簿・台帳との整合性です。
- 左=自社、右=発注先の構造を押さえる
- 契約日の時系列と、左右の工事内容の書き分けに注意
- 空欄を作らない(該当なしは「無」「なし」と書く)
- 変更が出たら変更届。特に工期延長
なお、通知書とセットで必ず求められるのが作業員名簿です。VLOOKUPで自動入力できる全建統一様式のテンプレートを配布・解説しています。


▶ 安全書類の全体像は【保存版】グリーンファイル一覧へ








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