持込機械の届で最初につまずくのは、書き方ではなく様式選びです。
現場に機械を持ち込むときの届は、実は2種類あります。
バックホウを電動工具用の様式で出してきたり、インパクトドライバーを重機用の様式にずらっと並べてきたり——受付する監督側から見ると、様式違いは差し戻し理由の定番です。
この記事では、どっちの様式を出すのかの判定から、項目別の書き方、記入例、そして「元請が借りた機械でも届は要るのか」という現場で毎回揉めるポイントまで、届を受け取って審査する側の現場監督が解説します。
まず確認:あなたが出すのはどっちの様式?
| 持ち込むもの | 使う様式 |
|---|---|
| バックホウ・移動式クレーン・高所作業車・フォークリフト・発電機・コンプレッサーなど(重機・車両系・据置機械) | 持込機械等使用届(全建統一様式第9号) |
| インパクトドライバー・丸ノコ・グラインダー・溶接機・投光器など(電動工具・電気機器類) | 持込機械等電動工具・電気溶接機等使用届(参考様式第5号) |
ざっくり言えば、「1台ずつ管理するもの」が第9号、「まとめて一覧で管理するもの」が電動工具様式です。判断に迷うのは発電機・溶接機あたりですが、様式の採用は元請ごとに微妙に違うので、迷ったら現場の元請ルール(様式集)で確認してください。グリーンサイト等の電子システムの現場なら、機械種別を選べば様式は自動で振り分けられます。
なお、検索でよく使われる「持込機械等使用届」という名前は、現行の全建統一様式では第9号の正式名称と一致しません(第9号の現行名は「移動式クレーン・車両系建設機械等使用届」)。
元請の採用様式では今も「持込機械等使用届」の名称が広く使われているので、名前ではなく「重機系か・工具系か」で判定してください。
ヤマダちなみに様式第10号は「持込機械届済証」——受付後に機械に貼るステッカー側の様式です。
そもそもこの届、法律で義務なの?
添付書類の記事でも使った整理をここでも使います。安全書類は「法定」と「元請ルール」に分かれる、という話です。
持込機械等使用届という様式そのものは、法定書類ではありません。
全建統一様式、つまり元請の労務安全管理(グリーンファイル)として提出する書類です。
ただし、中身はほぼすべて法定義務の裏付けでできています。車両系建設機械や移動式クレーンには労働安全衛生法にもとづく定期自主検査(特定自主検査)や作業開始前点検の義務があり、運転には資格(免許・技能講習・特別教育)が必要です。
届はこれらを**「この機械はちゃんと検査していて、資格のある人間が使います」と一枚で証明する書類**なんです。
だから「法定じゃないなら出さなくていい」は成立しません。届を出さない=法定義務を証明できない機械、として現場に入れないなんて事にも繋がりかねません。
持込機械等使用届(重機・車両系)の書き方



つまずきやすい欄に絞って解説します。
機械名・規格・管理番号
規格は「型式+能力」で書きます(例:バックホウ 0.45㎥、ラフタークレーン 25t)。管理番号・号機は現物のステッカーや車体表示と一致させてください。届と現物の号機違いは、受付でよく見つかる不備です。
持込年月日・使用期間
使用期間は工期に合わせて長めに書いてOKですが、月次で持込機械の棚卸しをする現場では期間を区切って更新する運用もあります。元請ルールに合わせてください。
点検者・取扱者(運転者)
この届の心臓部です。機械に必要な資格と、取扱者の資格が対応しているかが最重要チェックポイント。たとえば同じバックホウでも機体質量3t以上なら車両系建設機械運転技能講習、3t未満なら特別教育。移動式クレーンなら吊り上げ荷重で免許・技能講習・特別教育が分かれます。資格者証の写しを添付する運用が一般的なので、取扱者欄の名前と資格者証の名前・有効期限をセットで確認してから出してください。
定期自主検査・特定自主検査
車両系建設機械などは年次の特定自主検査が義務で、実施済みの機械には検査標章(ステッカー)が貼られています。届の検査年月日とステッカーの有効期限が合っているか。
期限切れの機械は届が通っても現場に入れません。レンタル機はレンタル会社が検査を実施しているので、貸出時の点検表・検査記録を確認して転記します。
特定自主検査の周期は労働安全衛生法45条にもとづき、車両系建設機械・フォークリフト・高所作業車は1年以内ごとに1回。ただし不整地運搬車は2年以内ごとに1回と機械により異なります。
任意保険・リース区分
自社所有かリース・レンタルかの別と、対人対物の保険加入状況。移動式クレーンなど公道を走る機械は自賠責・任意保険の欄も確実に。


電動工具・電気機器等使用届の書き方
こちらは複数の工具を1枚にまとめて書ける一覧形式が基本です。
品名・規格・数量
インパクトドライバー、丸ノコ、グラインダーなど品名ごとに。同一品が複数あれば数量でまとめてOK
点検内容
電動工具の要はコード・プラグの絶縁とアース。二重絶縁工具(回転マーク)はその旨を書けばアース省略の整理になります
持込時の受付確認
現場によっては受付時に持込機械届済証(様式第10号)を工具に貼る運用があります。シールなしの工具は使用不可、が原則の現場も多い
グラインダー(研削といし)の取替え・試運転は特別教育が必要な作業なので、砥石交換をする人が決まっているなら資格欄で拾っておくと親切です。


元請所有・元請リースの機械はどうする?
検索してもまず答えが出てこない、でも現場で毎回発生する問題です。
原則から言うと、この届の主語は**「機械を持ち込んで使用する事業者」**です。だから整理はこうなります。
- 下請が自社所有・自社レンタルの機械を持ち込む → 下請が届を出す(通常パターン)
- 元請が手配した機械(元請リースのクレーン等)を下請が使う → 持込ではないので持込機械届の対象外。ただし取扱者の資格確認は別途必要なので、資格者届や作業計画側で拾うのが一般的
- 元請リースの機械を複数の下請が共用する → 現場ルールで割れるポイント。使用会社ごとに取扱者を届けさせる現場もあれば、元請の機械管理台帳で一元管理する現場もあります
つまり「元請の機械だから書類は何も要らない」は誤りで、持込届は不要でも資格確認の書類は必ずどこかで必要になります。



着工前に元請の安全担当に「元請手配機械の資格確認はどの様式でやるか」を確認しておくのが正解です。
受付する監督は、ここを見ている
受け取る側の差し戻しポイントを白状しておきます。提出前のセルフチェックにどうぞ。
- 様式違い(重機を電動工具様式で、またはその逆)
- 資格と機械の不一致(3t以上のバックホウに特別教育の名前、5t吊りに小型移動式の資格など)
- 資格者証の有効期限切れ・取扱者欄と資格者証の名前違い
- 特定自主検査の期限切れ(届の日付と持込機械届済証(様式第10号)が合っていない)
- 号機違い(届の管理番号と現物のステッカーが別の機械)
- 取扱者にいない人が運転している(届は通っているのに、当日現場で操作しているのは別人——これは届の不備ではなく運用の崩壊ですが、発覚するのは大抵パトロールの日です)
共通するのは、この届が**「紙と現物とヒトの三点照合」で見られている**ということ。紙の中だけで完結しない書類です。
よくある質問
- レンタル機は誰が届を出しますか?
-
借りて現場に持ち込む会社(使用する下請)です。レンタル会社は貸出時の点検記録・検査記録を出してくれるので、それを添付・転記します。
- 届を出せば作業開始前点検は不要になりますか?
-
なりません。届は持込時の証明、作業開始前点検は毎日の義務です。別物として運用してください。
- 一人親方の手持ち工具も届が要りますか?
-
元請ルール次第ですが、必要とする現場が大半です。電動工具様式にまとめて記載すれば手間は知れています。「自分の道具だから」は現場では通りません。
- 使用期間が延びたら?
-
期間満了前に変更(再提出)します。再下請負通知書の変更届と同じで、工期延長時の出し忘れ定番書類なので、工程変更が出たら安全書類一式をまとめて棚卸しする癖をつけると漏れません。
まとめ:様式判定→資格対応→現物照合の3点だけ
- 重機・車両系は第9号、電動工具は別様式。まず様式を間違えない
- 機械に必要な資格と取扱者の資格の対応が審査の本丸。資格者証の期限まで見る
- 届・現物・ヒトの三点照合で見られている。号機とステッカーを合わせる
持込機械届は、再下請負通知書・作業員名簿とセットで新規入場前に揃える書類です。それぞれの書き方はこちらで解説しています。






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