常用で入った分の請求書、こんなところで迷っていませんか?
- 半日で上がった日はどう書く?
- 残業代はいくらで、どこに書く?
- 雨で中止になった日は請求していい?
- 応援で入った現場の分はどうする?
この記事では、現場監督として20年、協力会社さんの常用の請求書を受け取ってきた立場から、元請が実際にどこを見て、何なら納得するかを書いています。
常用の請求書テンプレート(Excel・手書き用PDF)も無料で配布しているので、そのまま使ってください。
ヤマダ一般的な「請求書の書き方」は請求書ソフトの会社の記事がたくさんあります。ここでは、常用ならではの迷いどころに絞って書きます。
常用(人工代)の請求書テンプレート【無料】
Excel版と、手書き用のPDF版を用意しました。どちらも登録不要です。
Excel版
日付・作業内容・人工・残業時間を入れるだけで、人工代と合計人工が自動で計算されます。インボイス対応で、登録番号がない場合は欄ごと消えます。


手書き用PDF版
印刷して手書きで使う空欄版です。31日分の行があるので、1か月分をまとめて書けます。


工事一式で請求する場合のテンプレートや、建設業の請求書の基本的な記載項目はこちらにまとめています。


そもそも「人工」「人工代」とは
人工(にんく)は、1人が1日働いた作業量を表す単位です。2人で1日なら2人工、1人で半日なら0.5人工と数えます。
人工代は、その人工に単価を掛けた金額です。
人工代 = 人工数 × 1人工あたりの単価
工事一式の請求が「この工事を仕上げたらいくら」という成果に対する請求なのに対して、常用は「何人が何日入ったか」に対する請求です。だから常用の請求書は、日ごとに何人入ったかがわかることが一番大事になります。
常用の請求書に書く項目
宛先・発行者・請求日・振込先といった基本項目は、普通の請求書と同じです。常用ならではの項目は次のとおりです。
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 工事名・現場名 | 元請の注文書や出面表と同じ名称で |
| 対象期間 | 元請の締め日に合わせる(例:9月1日〜9月30日締め、8月21日〜9月20日締め) |
| 日ごとの明細 | 日付・作業内容・人工数・残業時間・金額 |
| 単価 | 1人工あたりの単価と、残業1時間あたりの単価 |
| 合計人工 | 期間中の人工の合計。元請はここを出面表と照合する |
| その他 | 駐車場代・交通費など、人工代以外の請求 |
作業内容は「LGS下地」「PB張り」「器具付け」くらいの短さで十分です。元請側が「この日はこの作業で入ってもらった」と思い出せればOKです。
ケース別の書き方
ここからが本題です。常用で迷いやすいケースを、元請側の感覚とあわせて書きます。
基本:1人で毎日入った場合
1日1行で、人工は「1.0」です。
| 日付 | 作業内容 | 人工 | 残業(h) | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 9/1(火) | LGS下地組み | 1.0 | 22,000 | |
| 9/2(水) | LGS下地組み | 1.0 | 22,000 |
休んだ日は行を飛ばして書かないでください。日付が連続していなくても問題ありません。
2人以上で入った日
人工の欄に人数をそのまま書きます。2人なら「2.0」です。
職人さんの名前まで書くかは元請によります。名前ごとに分けて書くように言われる場合は、同じ日付で行を分けて「佐藤 1.0」「田中 1.0」と書けばOKです。
半日・早上がりの日
半日は0.5人工で書くのが基本です。
時間単位(「5時間」など)で人工を計算するやり方もあるにはありますが、私の現場の感覚では、時間で受けたことはほとんどありません。半日は0.5人工、というのが現場ではほぼ共通のルールだと思います。
| 日付 | 作業内容 | 人工 | 残業(h) | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 9/8(火) | 盤まわり結線 | 0.5 | 11,000 |



半日で上がった日を1.0で書いてしまうと、元請の出面表と合わずに確認の連絡が来ます。悪気がなくても印象はよくないので、ここは正確に。
残業・早出の書き方
残業は人工とは別に、時間×残業単価で書くのがわかりやすいです。
| 日付 | 作業内容 | 人工 | 残業(h) | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 9/9(水) | コンセント器具付け | 1.0 | 2.0 | 28,000 |
(1人工22,000円+残業2時間×3,000円=28,000円)
残業単価の決め方は、正直なところ業者さんによってバラバラです。
- 1時間あたり定額(例:3,000円/時間)
- 人工単価を8で割って、割増をかける(例:22,000円÷8×1.25)
- 2時間で0.25人工、のように人工に換算する
元請として受け取る側の感覚で言うと、1時間あたり定額が一番わかりやすくて納得感があります。計算が単純で、こちらでも検算しやすいからです。
いずれにしても、残業単価は請求のときに初めて出すのではなく、最初に取り決めておくのが大事です。取り決めがないまま残業代が乗ってくると、元請側は「これはどこで決めたんだっけ」と止まってしまいます。
雨で中止になった日
雨や段取りの都合で作業が中止になった日の扱いは、契約や取り決め次第です。私の現場では、こう分けています。
- 当日の朝に中止になった場合:請求してもらっている(職人さんはもう動いているので)
- 前日までに中止を伝えている場合:請求なし
元請によって考え方は違うので、「当日中止の扱いはどうなりますか」と最初に聞いておくのが安全です。
当日中止で請求する場合は、作業内容の欄に「雨天中止(当日)」と書いておくと、元請側でも経緯がすぐわかります。



当日中止なのに請求しにくくて黙っている職人さんもいますが、元請としては、取り決めどおりならちゃんと請求してほしいです。後から言われる方が困ります。
応援で入った場合
普段の現場とは別に「応援」で入った分の請求は、少し気をつかうところです。
正直に言うと、元請にとって見積に入っていない請求は、あまりうれしいものではありません。予算の中で回しているので、想定外の出費になるからです。
一方で、現場が切羽詰まっているときは、元請の方から「応援呼べない?」と頼むこともあります。頼んだ側としては、そこで来てくれた職人さんには本当に助けられています。
なので、応援の請求で大事なのはこの2つです。
- 応援の分は、本来の現場と分けて書く(応援先の工事名・現場名で、別の請求書にするか、明細で分かれるように書く)
- 誰に頼まれて、いつからいつまで入ったかをはっきりさせる(「◯◯さんの依頼で応援」と作業内容に書いておくと確認が早い)
応援の請求がスムーズに通るかどうかは、普段からの元請との関係性に直結します。頼まれたときに気持ちよく来てくれて、請求も明細がはっきりしている業者さんには、次も声をかけたくなるものです。
駐車場代・交通費・道具代
人工代とは分けて、明細の下に「その他」として書きます。
| 品名 | 金額 |
|---|---|
| 駐車場代(9月分) | 12,000 |
これも、元請が負担するものかどうかを事前に確認しておくのが基本です。現場によっては「駐車場代は単価に含む」という取り決めの場合もあります。
なお、立替金として実費で精算するのか、自分の売上として請求するのかで、消費税の扱いが変わることがあります。迷う場合は税理士に確認してください。
出す前に、出面表と人工数を突き合わせる
常用の請求で一番多いトラブルは、請求書の人工数と、元請の出面表の人工数が合わないことです。
元請は毎日、誰が何人入ったかを出面表につけています。届いた請求書は、この出面表と1日ずつ突き合わせて確認します。
ズレやすいのは、だいたいこのあたりです。
- 半日の日を1.0で書いている
- 休んだ日、雨で前日中止になった日が入っている
- 締め日をまたいだ日が、前月と今月の両方に入っている
- 2人で入った日を1.0で書いている(請求漏れ)
対策はシンプルで、自分でも出面をつけておくことです。毎日、手帳やスマホに「日付・現場・人数・残業」をメモしておくだけで、請求書を作るときに迷いません。
出面表のテンプレートも無料で配布しています。


テンプレートの常用用請求書は合計人工が出るようにしてあるので、出す前に元請からもらう出面や自分のメモと見比べてください。
常用の人工代と消費税・インボイス
人工代に消費税はかかる?
一人親方が外注として常用で請求する人工代は、消費税の課税対象(10%)です。請求書には、税抜金額と消費税額を分けて書いてください。
インボイスに登録していない場合
登録番号の欄は空欄にします(Excel版は空欄にすると「登録番号:」の表示ごと消えます)。
元請側は、インボイス未登録の一人親方に払った分の消費税を、経過措置として一部しか控除できません。2026年10月1日からは控除できる割合が50%になっています。単価の話し合いでこの点が出ることもあるので、知っておくと話がしやすいです。
インボイスの確認を元請側がどうやっているかは、こちらにまとめています。


消費税を請求しないことはできる?
取引先と合意していれば、税込の金額で単価を決めることもあります。ただ、免税事業者かどうか、課税事業者として申告しているかで扱いが変わります。自分の場合どうなるかは、税理士か税務署に確認してください。
手書きで出す場合の注意
手書きの請求書でも問題ありません。インボイスに登録している場合は、登録番号・税率ごとの金額・消費税額など、必要な項目がそろっていれば有効です。
手書きで気をつけたいのは、この3つです。
- 消せるボールペンは使わない(熱で消えてしまうので、請求書には向きません)
- 金額を間違えたら、書き直す(金額欄の訂正は、二重線と訂正印で直すより新しく書き直す方が安全です)
- 控えを残す(スマホで写真を撮っておくだけでもOK)
手書き用のPDFは、記事の最初からダウンロードできます。
毎月の常用請求をもっと楽にするなら
元請が何社もあるなら:履歴管理版(有料)
常用で入っている元請が何社もあると、単価・残業単価・締め日・支払日が元請ごとにバラバラで、毎回確認するのが手間になります。
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収録テンプレート(全5本)
- 取引先マスタ付き請求書テンプレート(履歴管理版)
- 出来高請求書テンプレート(履歴管理版)
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Excel 2013以降対応/Windows・Mac両対応
Excel自体が面倒なら:請求書ソフト
毎回Excelを開いてPDFにして送るのが面倒なら、請求書ソフトのMisocaも選択肢です。私はブログとは別のライティングの仕事の請求でMisocaを使っていますが、取引先と品目を登録しておけば、毎月の請求書は数クリックで作れます。
ただし、出面表との突き合わせや、日ごとの人工の管理は自分でやる必要があります。日ごとの明細をきちんと残したいなら、Excelのテンプレートの方が向いています。
よくある質問
- 1人工は何時間ですか?
-
一般的には、8時から17時(休憩を除いて8時間)くらいを1人工とすることが多いです。ただ、始業・終業の時間は現場によって違うので、元請のルールに合わせてください。
- 人工代の相場はいくらですか?
-
職種・地域・経験年数で大きく違うので、一概には言えません。同じ職種でも、元請や現場によって単価が変わるのが普通です。
- 請求書の最初に書く文言は?
-
「下記のとおりご請求申し上げます。」が一般的です。テンプレートにも入っています。
- 常用と請負(一式)、どちらで請求すればいい?
-
注文書(または口頭での取り決め)がどちらの形になっているかで決まります。常用で入ったのに一式で請求したり、その逆にしたりすると、元請側で予算の処理ができません。迷ったら注文書を確認してください。
- 応援で入った分は、本来の現場の請求書にまとめてもいい?
-
元請が同じでも、工事(現場)が違うなら分けて書く方が確実です。元請は現場ごとに予算を管理しているので、まとめてしまうと振り分けの手間がかかります。
まとめ
常用の請求書は、書く項目自体はシンプルです。大事なのは、元請の出面表と1日ずつ照合されても、ズレがないことです。
- 半日は0.5人工で書く
- 残業は時間×残業単価で、単価は最初に取り決めておく
- 雨天中止・応援・駐車場代は、事前の取り決めに沿って、明細でわかるように書く
- 出す前に、合計人工を出面と見比べる
常用の請求書テンプレートは、Excel版と手書き用PDF版の両方を無料で配布しています。今月の請求から使ってください。




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