経審の申請書類の中で、技術職員名簿は「書く欄は少ないのに、つまずく場所が多い」書類です。
業種コードと有資格区分コードの対応、講習受講欄の「1」と「2」の判定、監理技術者資格者証の交付番号——行政庁の手引きを開けば全部書いてありますが、手引きは50ページ超。名簿1枚のために全部読むのは現実的ではありません。
この記事では、現場監督歴20年・1級建築施工管理技士の私が、技術職員名簿の全欄の書き方を記入例つきで解説します。読み終わったら書き上がる構成にしてあるので、いま作成中の方はこのまま読み進めてください。
なお、技術職員名簿が経審のどの点数(Z点)にどう効くかは別記事で解説しています。1級技士・技士補が何点になるかを知りたい方はそちらから(→⑥へ内部リンク)。
技術職員名簿とは:誰を載せられるか
技術職員名簿は、経審で技術力(Z点)の評価対象となる技術職員を申告する書類です。ここに載った人数と資格が、そのまま会社の点数になります。
記載できるのは次のすべてを満たす人です。
- 常勤性:その会社の営業日・営業時間に常に勤務していること。アルバイト・パートなどの非常勤は記載できません
- 審査基準日以前に6ヶ月を超える恒常的な雇用関係:審査基準日(直前の決算日)の直前に駆け込みで雇った技術者は載せられません
- 給与要件:労働の対価である収入が月額10万円以上であることが確認資料で確認できること
ヤマダつまり「期中に1級技士を採用したから今期の経審から加点」と単純にはいきません。
雇用期間の起算を意識して、採用時期と決算日の関係を見ておく必要があります。出向者は確認資料が別途必要になるなど扱いが細かいので、該当者がいる場合は提出先の手引きで必ず確認してください。
安全書類の作業員名簿についてはこちらをどうぞ。


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記入例つき:全欄の書き方


欄ごとに順番に解説します。細かい共通ルールを先にひとつ——コード類の記入枠は**右詰め、空いた枠には「0」**を記入します。
新規掲載者
審査対象年に初めて名簿に載る人に「○」を記入します。昨年も載っていた人は空欄です。中途採用者だけでなく、資格を取って新たに加点対象になった既存社員もここに該当します。
生年月日・審査基準日現在の満年齢
年齢は「申請日時点」ではなく審査基準日(直前の決算日)時点の満年齢です。書き間違いの定番なので注意。
業種コード
その技術職員をどの業種の技術力としてカウントするかを指定する欄です。1人につき2業種まで(同一の職員に同じ業種を2回は不可)。
ここに重要な制約があります。業種コードは、完成工事高を申告した業種・経営規模等評価の対象業種と一致していなければなりません。資格をたくさん持っている人でも、会社として申請していない業種のコードは書けない、ということです。名簿を書く前に、完成工事高の業種構成を確認しておいてください。
有資格区分コード
その職員の資格を、手引きの別表(コード表)から選んで記入します。業種コード欄で選んだ業種に対応する資格のコードでなければなりません。建築系の主要コードは後半の早見表(H2-4)にまとめました。
講習受講
「1」を書けるのは、監理技術者資格者証の交付を受けていて、かつ有効な監理技術者講習を修了している場合です。それ以外は「2」。
前回の記事で書いた通り、この欄が「1」か「2」かで1点変わります(6点か5点か)。1級技士が社内に複数いる会社は、この欄のために講習の有効期限を管理する価値があります。


監理技術者資格者証交付番号
資格者証を持っている場合に、カードに記載された交付番号を記入します。ここでの定番ミスが、一級建築士の登録番号など、別の資格の番号を書いてしまうこと。手引きがわざわざ太字で注意するほどよくある間違いです。書くのは監理技術者資格者証(顔写真つきのカード)の番号だけです。
つまずきポイント集:審査で差し戻される定番
書き方そのものより、実務で引っかかるのはこのあたりです。
① 2業種の選び方で点を取りこぼす
1人2業種まで載せられるので、複数業種で完成工事高がある会社は「誰をどの業種に振るか」が点数配分の設計になります。全員を建築一式に寄せるのが正解とは限りません。
② 技能者名簿と混同する
経審にはもうひとつ「技能者名簿(CCUS関連・W点側)」があります。
技術職員名簿はZ点、技能者名簿はW点と、評価される点数の場所が違う別書類です。
③ 講習の有効期限切れに気づかない
講習受講「1」で申請していた1級技士が、期限切れで「2」に落ちると1人につき1点下がります(6点→5点)。監理技術者講習の有効期限は、受講した年の5年後の12月31日までです(令和3年の改正でこの計算方法になりました)。
有効かどうかの判定は審査基準日(決算日)時点で行われるので、名簿作成時に全1級技士の講習修了年を確認し、基準日時点で切れていないかをチェックする習慣をおすすめします。
④ 人数が多い会社は事前確認が必要な場合がある
技術職員数が一定数を超える場合、行政庁によっては審査日の1ヶ月前までの事前確認を求められます(東京都の例:30名超が目安)。大所帯の会社は手引きの冒頭を確認してください。
建築系の有資格区分コード早見表
手引きのコード表は全業種・全資格を網羅していて探しにくいので、建築系の会社でよく使う資格だけ抜き出しました。
| 資格 | 有資格区分コード | 点数の目安 |
|---|---|---|
| 1級建築施工管理技士(資格者証+有効な講習修了) | 120 | 6点 |
| 1級建築施工管理技士(上記以外) | 120 | 5点 |
| 1級技士補(主任技術者要件を満たし監理技術者補佐可) | 005 | 4点 |
| 1級一次合格+実務経験3年(補佐要件なし) | 1△ | 1点 |
| 1級一次合格+実務経験5年(補佐要件なし) | 1* | 1点 |
| 2級建築施工管理技士(建築) | 221 | 2点 |
| 2級建築施工管理技士(躯体) | 222 | 2点 |
| 2級建築施工管理技士(仕上げ) | 223 | 2点 |
| 一級建築士 | 183 | 5点 |
| 二級建築士 | 283 | 2点 |
※業種コードは建築一式工事=02。コードは2026年7月時点。提出先の最新手引きで最終確認してください。
技士補で注意したいのがコードの分岐です。 同じ「1級一次合格」でも、主任技術者となる資格(実務経験等)を満たして監理技術者補佐になれる人はコード005で4点、実務経験が足りずまだ補佐になれない人は1△や1*で1点です。1級一次に受かっただけでは4点にならない、という前回の記事で書いた話が、コードの上でもはっきり分かれています。
記入例つきExcelを無料配布します
この記事の記入例をそのまま収めた**技術職員名簿のExcel(記入例シート+建築系コード早見シート付き)**を無料で配布します。白紙の様式は行政庁のサイトにありますが、「書き方がセルの中で見られる」状態のファイルは意外とないので、記入例を横に置いて自社の名簿を作る、という使い方を想定しています。
なお、技術職員が多い会社向けに、マスター1枚から名簿へ自動転記し、監理技術者講習の期限が近い職員を自動で色付けする管理台帳版も需要がありそうなら作ろうかと思っています。
よくある質問
- 期中に資格を取った社員はいつから載せられますか?
-
資格の取得(合格・登録)が審査基準日までに完了していることが基本です。合格発表日と基準日の前後関係を確認してください(※合格日と登録日のどちらで判定かは手引きで要裏取り)。
- 社長や役員も技術職員として載せられますか?
-
常勤の役員は、要件(常勤性・資格等)を満たせば記載できます。営業所技術者(旧・専任技術者)を兼ねている場合の扱いは手引きで確認してください。
- 若い社員を載せると何か良いことがありますか?
-
あります。若年技術職員の割合・新規採用はW点側の加点につながる場合があります。Z点とW点の両方に効く可能性がある、というのは⑥の記事で書いた通りです。
- 最近の改正で技術職員の点数やコードは変わりましたか?
-
技士補が評価対象に加わるなど、令和5年7月の改正が直近の大きな変更です。その後の令和7年(2025年)の改正では、技術職員の評点・コードそのものの変更はありません(2026年7月時点)。ただし様式やコード表は改正で変わり得るので、申請時は必ず提出先の最新の手引きを確認してください。
まとめ
- 載せられるのは常勤+6ヶ月超雇用の技術職員だけ。採用時期と決算日の関係に注意
- 業種コードは完成工事高の業種と一致が必須。1人2業種まで
- 講習受講欄は1点の差。監理技術者講習の期限管理まで含めて名簿の実務
- 交付番号欄に書くのは監理技術者資格者証の番号(一級建築士の番号ではない)
技術職員の点数の仕組みは下の記事でどうぞ。






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