建設業の勘定科目一覧|完成工事高・未成工事支出金など特有の科目を解説

目次

はじめに

建設業の帳簿や決算書には、ほかの業種では見かけない科目名が並んでいます。

「完成工事高」「未成工事支出金」「完成工事未収入金」——初めて目にすると何のことかわからないですよね。

ただ、難しそうに見えて、実は一般的な会計の言葉と1対1で対応しています。

この記事では、建設業特有の勘定科目を一覧でまとめ、それぞれが実務のどの場面で登場するかをあわせて解説します。確定申告の記帳から、建設業許可の財務諸表まで対応できる内容です。


【前提】一人親方の確定申告では科目名は自由でいい

最初に大事な前提をひとつ確認しておきます。

一人親方が青色申告・白色申告をする場合、帳簿の科目名に「建設業用の正式名称」を使う義務はありません。

売上は「売上高」でも「完成工事高」でも、どちらでも受け付けてもらえます。

建設業用の科目名が必要になるのは、主に以下の場面です。

  • 建設業許可の申請・更新(財務諸表を建設業用様式で提出する)
  • 経営事項審査(経審)(財務内容がスコアに影響する)
  • 法人の決算書作成
ヤマダ

逆に言えば、この記事の内容を頭に入れておけば、これらの場面で慌てずに済みます。

建設業の勘定科目一覧

収益科目(売上にあたるもの)

建設業の科目名一般的な言葉使うタイミング
完成工事高売上工事完成・引渡し時に計上
兼業事業売上高売上(建設以外)建設業以外の収益がある場合

完成工事高は建設業会計の中心です。工事が「完成して引き渡した」タイミングで初めて売上として計上します。

工事中はどれだけ費用がかかっていても、売上にはなりません。

資産科目(お金の受け取り・支払いに関するもの)

建設業の科目名一般的な言葉意味
完成工事未収入金売掛金工事は終わったが、まだ受け取っていない代金
未成工事支出金仕掛品工事中にかかった費用(まだ売上計上できていない分)
未成工事受入金前受金工事完成前に受け取った着手金・中間金

未成工事支出金は特に混乱しやすい科目です。

工事中に材料を買ったり外注費を払ったりすると費用が発生しますが、工事が完成するまではこの科目に積み上げていきます。

完成・引渡しのタイミングで「完成工事原価」に振り替えて、初めて費用として計上されます。

工事原価の4科目:日常の記帳で最もよく使う

建設業の原価は4つに分けて管理します。許可申請・経審・確定申告のどれにも関わる、実務の核心です。

科目名内容具体例
材料費工事に使った材料の費用鉄筋・コンクリート・木材・塗料
労務費直接雇用の職人への賃金日当・時間給で働く職人の人件費
外注費下請け・応援への支払い一人親方への外注、専門業者への発注
経費上記以外の現場費用仮設トイレ・現場電気代・工具消耗品

外注費と労務費の区別は税務調査でも確認されやすいポイントです。

  • 外注費:請負契約で動いている(相手の裁量で仕事をしている)
  • 労務費:雇用に近い関係で動いている(こちらの指示で作業している)

判断に迷う場合は、契約書の形態と実態の両方で判断します。口頭でも請負の実態があれば外注費として扱えますが、実態が雇用に近ければ労務費(給与)になります。

販売費・一般管理費:現場以外の費用

工事に直接かかる費用(工事原価)とは別に、会社・事業全体にかかる費用があります。

科目名内容
役員報酬法人の場合の代表者報酬
給料手当事務・営業スタッフへの給与
法定福利費社会保険料の会社負担分
地代家賃事務所の家賃
減価償却費車両・機械などの償却

一人親方の場合、事務所が自宅兼用であれば家事按分が必要です。

車両も現場専用でなければ、使用割合に応じて経費計上します。

建設業許可の財務諸表に組み替えるとき

建設業許可の申請・更新では、毎年の決算書を「建設業用の様式」に組み替えた財務諸表を都道府県に提出します。

このとき、上記の科目一覧がそのまま対応表になります。

  • 確定申告書の「売上」→ 財務諸表の「完成工事高」
  • 確定申告書の「仕入・外注費」→ 財務諸表の「完成工事原価(外注費)」

行政書士に依頼する場合でも、元の帳簿の科目が整理されていると作業がスムーズです。

日頃から4区分を意識して記帳しておくと、許可更新のたびに慌てずに済みます。

まとめ

  • 建設業の科目名は一般会計と1対1で対応している
  • 一人親方の確定申告では科目名の正式名称は必須ではない
  • 建設業許可・経審では建設業用の科目名・区分けが必要になる
  • 工事原価の4区分(材料費・労務費・外注費・経費)が日常記帳の基本
  • 外注費と労務費の区別は税務上も重要なポイント
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

建設業歴20年。二級建築士・一級施工管理技士。

現場も書類もほぼ一人で回す日々の中で、「もっとラクにできる」と思ったことをまとめています。

工事写真・安全書類・アプリ・経理・許可申請まで、建設業のバックオフィスを全部カバーします。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次