工事が終わってから「あれ!?この現場、最後赤字で終わったの!?」と気づく。
建設業の原価管理でよくある失敗のパターンです。
工事別に原価をきちんと管理していれば、工事の途中で異常に気づいて手を打てます。
この記事では、Excelで工事別原価管理を始める方法と、現場監督が実際に経験したよくある失敗を解説します。
ヤマダすぐ使えるExcelテンプレートも配布しているので、今日から使ってみてください。
工事別原価管理とは何か
工事別原価管理とは、工事ごとに「何にいくら使ったか」を集計して、
予算と実績を比較しながら管理することです。
建設業では1社で複数の工事を同時進行することが多く、
どの工事でいくら使ったかを工事単位で把握しないと、会社全体の収支しか見えません。
工事Aで利益が出ていても工事Bで赤字になっていれば、まとめて見ると「まあまあ」に見えてしまいます。
管理の基本は、発生した原価に工事名を紐づけて記録することです。
これができていれば、工事ごとの損益が随時確認できるようになります。
放置するとどうなるか。
工事完了後に請求書や領収書をかき集めて原価を集計したとき、
初めて赤字が発覚するという最悪のパターンに陥ります。
その時点では追加請求も挽回もできません。
工事原価の4つの分類
工事原価は大きく4つに分類されます。
この分類で記録しておくと、「どこでコストがかかっているか」が見やすくなります。
材料費は工事に使った資材・材料の購入費用です。
鉄筋・木材・コンクリートなど直接工事に使ったものが対象です。
労務費は自社で雇用している作業員に支払う賃金です。
社員・アルバイトへの給与・手当が該当します。
外注費は下請け業者や一人親方に支払う費用です。
雇用関係がない相手への支払いは外注費になります。



インボイスの確認が必要になるのもこの区分です。
経費は上の3つに含まれない工事関連コストです。
現場の駐車場代・工事車両の燃料費・現場で使う消耗品などが該当します。見落とされやすい区分です。
現場監督が経験したよくある3つの失敗
失敗1:外注費の請求書が後から来て原価が膨らむ
下請けや一人親方への支払いは、工事完了後にまとめて請求書が届くケースが多いです。
工事が終わった時点では「だいたいこのくらい」という肌感しかなく、請求書が届いて初めて金額が確定します。
その金額が想定より大きかったとき、すでに工事は終わっていて追加請求もできません。
利益が想定より大幅に下がることが確定する瞬間です。
対策は、発注した時点で「予定原価」として台帳に先に登録しておくことです。
請求書が届いてから実績と突合する運用にすれば、工事中に原価超過の予兆に気づけます。
失敗2:複数人で発注して月末まで全体が把握できない
現場監督・職長・資材担当がそれぞれ材料を発注しているケースでは、
それぞれの発注情報が月末にならないと一本化されません。
誰かが予定外の追加発注をしていても、台帳に反映されるのが月末一括では対応が遅れます。
対策は「発注したその日に台帳に入力する」ルールを作ることです。
発注書の写しを経理に即日共有する運用と組み合わせると、リアルタイムで原価の動きが追えます。
失敗3:経費の落とし漏れで原価が低く見える
現場の駐車場代・交通費・消耗品などは、領収書の報告が遅れたり、
そもそも報告されなかったりすることがあります。
結果として台帳に載っていない原価が実際には発生していて、利益が実態より高く見えます。
対策は経費精算のフォームを作って週次で提出させることです。
Google Formsで入力→Sheetsに自動集計する仕組みを作れば、現場からの報告漏れが大幅に減ります。
無料テンプレートの使い方


入力シートに工事情報と原価データを入力するだけで、集計シートに自動反映されます。
科目はプルダウンで選べるので入力ミスが防げます。


予定原価と実績原価の両方を入力する設計なので、発注時点から原価の動きが追えます。
差額がマイナスになったら予算超過のサインです。
複数の工事をまとめて管理したいなら有料版が便利
無料版は1工事1ファイルで管理するシンプルな構成です。
工事が1〜2件なら十分ですが、複数の工事を同時進行している場合、
「全工事の状況をまとめて把握したい」という場面が出てきます。
有料版(5工事横断管理版)は、最大5工事の原価を1ファイルで横断管理できます。


工事一覧シートを開けば、全工事の粗利率が一画面で確認できます。
「どの現場が危ない状態か」が一目でわかるので、早めの対応が取れます。


請求書・納品書をPDFで受け取る場合の対処法
下請けや仕入先からPDFで請求書が届くケースが増えています。
金額を台帳に転記するとき、手入力では転記ミスが起きます。
Adobe AcrobatのOCR機能を使うと、スキャンしたPDFや画像PDFからテキストとして数字を読み取れます。
毎月大量の請求書を処理する経理担当者には、転記ミスの削減と作業時間の短縮で効果が出ます。


まとめ
工事別原価管理で大事なのは「リアルタイムで把握できる仕組みを作ること」です。
月末にまとめて入力する運用では、気づいたときには手遅れになりがちです。
発注時に予定原価を登録・複数人の発注情報を即日共有・経費を週次で精算、
この3つのルールをExcelテンプレートと組み合わせるだけで、原価管理の精度は大きく上がります。


関連記事:一人親方への外注費インボイス確認を効率化する方法(準備中)






コメント