建設工事では、工事が完成する前に「ここまで進んだ分」を請求できる仕組みがあります。
それが出来高請求です。
ただ、毎月の請求作業で
「書き方がよくわからない」「元請けに差し戻された」
という声は小規模な建設会社にとって少なくありません。
この記事では、出来高請求書の基本的な書き方と、私が実際に経験したよくあるミスを解説します。
ヤマダすぐに使えるExcelテンプレートも配布しているので、今月の請求作業からそのまま使ってください。
出来高請求書とは何か
出来高請求書とは、工事の進捗に応じて請求金額を算出した請求書のことです。
通常の請求書は「納品完了後に全額請求」が基本ですが、
建設工事は完成までに数ヶ月〜数年かかることがあります。
その間、材料費や外注費が先行して出ていくため、進捗に応じて途中で請求できる仕組みが必要になります。
たとえば請負金額1,000万円の工事で進捗が60%であれば、今月の出来高は600万円、
そこから前回までの累計請求額を引いた差額が今回の請求額になります。


普通の請求書と違うのは「累計出来高」と「今回請求額」を分けて管理する必要がある点です。
ここを混同すると二重請求や請求漏れにつながるので注意が必要です。
出来高請求書に必要な記載項目
最低限、以下の項目が揃っていれば元請けに提出できます。
工事名・現場名は元請けの工事台帳と一致させることが重要です。
名称がズレていると担当者が照合できず、確認に時間がかかります。
請負金額・累計出来高・今回請求額の3点セットが出来高請求書の核になります。
累計出来高は「請負金額×出来高率」で計算し、今回請求額は「累計出来高−前回までの請求済み額」で出します。
消費税とインボイス番号はインボイス制度の導入以降、記載漏れで差し戻されるケースが増えています。
自社の登録番号を必ず入れてください。
前払金の清算がある場合は、今回請求額から前払金の精算分を控除する欄が必要です。
元請けによって控除方法のルールが異なるため、契約時に確認しておくと後でトラブルになりません。
現場監督が経験したよくある3つのミス
ミス1:出来高の証拠書類が間に合わない
出来高として請求するには、「ここまで工事が進んでいる」という根拠を示す必要があります。
具体的には工事写真や出来形管理資料です。
これが月末の締め日までに揃っていないと、元請けに出来高を認めてもらえず請求が通りません。
現場が忙しい月末ほど写真整理が後回しになりがちで、結果的に請求が翌月にずれ込むという事態が起きます。
対策は、月末の2〜3日前を「写真・書類の整理日」としてあらかじめスケジュールに組み込むことです。
締め日当日に慌てて探す状況を作らないことが最大の予防策です。
ミス2:現場と事務方で出来高の認識がズレる
現場監督は「今月は70%いけてる」と思っていても、事務担当が60%で計上してしまうケースがあります。
逆に現場が強気に80%と言っても、根拠書類が不十分で元請けに60%しか認めてもらえないケースもあります。
認識のズレが積み重なると、最終回の請求で帳尻を合わせる作業が発生し、元請けとの確認にも時間がかかります。
対策はシンプルで、
月次で現場監督が出来高確認シートに数字と根拠を記入して事務担当に渡すルールを作ることです。
口頭での確認をなくすだけで認識のズレはほぼなくなります。
ミス3:計算ミスと端数処理が合わない
累計出来高と今回請求額の計算を手入力でやっていると、転記ミスが起きます。
また消費税の端数処理(切り捨て・四捨五入)が元請けのルールと合っていないと差し戻しになることがあります。
これはExcelで計算式を組んでおくことで防げます。
一度テンプレートを作れば毎月の入力は工事名と出来高率を変えるだけで済みます。
無料テンプレートの使い方
当サイトで配布しているExcelテンプレートは入力シートと印刷シートの2枚構成です。


入力シートの黄色セルに自社情報・工事情報・出来高情報を入力するだけで、印刷シートに自動反映されます。
今月の出来高率と前回までの累計請求額を入れれば、今回の請求額・消費税・税込合計がすべて自動で計算されます。


着工から完成まで管理したいなら有料版が便利
無料版は「今月1回分の請求書を作る」ことに特化したシンプルな構成です。
一方、同じ工事で毎月請求が続く場合、
「前回いくら請求したっけ」「残額はいくら残ってる」を毎回確認する手間が出てきます。
有料版(履歴管理版)は、着工から完成まで1つのファイルで管理できる工事専用ファイルです。


できることは3つです。
第1回から最終回までの出来高率・請求額を回ごとに記録できます。
累計請求額と残額がリアルタイムで確認できるため、工事全体の進捗状況が一目でわかります。
印刷したい回をプルダウンで選ぶだけで、その回の請求書が自動で表示されます。


PDFで提出する場合の注意点
元請けによっては「PDFで提出してください」と指定されることがあります。
その場合はExcelをそのまま送るのではなく、PDF変換してから提出するのがマナーです。
ExcelからPDFに変換する方法は、ファイル→エクスポート→PDF/XPS形式で発行、で対応できます。
ただし毎月大量のPDFを扱う場合や、
元請けから届いたPDFの書式に直接入力したい場合は、Adobe Acrobatが便利です。
OCR機能でスキャンした請求書をテキスト化したり、PDFに直接書き込んで保存したりできます。
月次の請求業務で書類をPDFで一元管理したい方はチェックしてみてください。


まとめ
出来高請求書でつまずきやすいポイントは、計算ミスよりも
「書類が間に合わない」「現場と事務の認識がズレる」という運用面の問題が多いです。
テンプレートで計算ミスをなくしつつ、
月末の書類整理と出来高確認のルールを作ることが、請求作業を安定させる一番の近道です。
今月の請求からすぐ使えるExcelテンプレートを用意しているので、ダウンロードして試してみてください。
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