経審の結果通知書の見方|P点・評点の意味と、小さな建設会社が毎年見るべき項目

経審(経営事項審査)を受けると、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が届きます。

数字がずらっと並んでいて、どこを見ればいいのか分かりにくい書類です。僕も最初は、P点だけ見て「上がった」「下がった」と確認するくらいでした。

僕は建設業歴20年の現役の現場監督で、小規模な公共施設の改修工事を中心に担当しています。勤務先は社員の少ない会社なので、毎年の結果通知書の中で「動く項目」と「ほとんど動かない項目」がはっきりしています。

この記事では、次のことを解説します。

  • 経審の結果通知書の全体像
  • P点と5つの評点(X1・X2・Y・Z・W)の意味
  • 小さな会社が毎年見るべきポイント
目次

そもそも経審とは

経審(経営事項審査)は、国や地方自治体などが発注する公共工事を、元請として直接請け負う建設業者が受けなければならない審査です。

会社の経営規模、経営状況、技術力、社会性などを点数にして評価します。その結果が「総合評定値(P点)」として通知され、公共工事の入札参加資格の格付け(ランク分け)などに使われます。

結果通知書には有効期限があり、審査基準日(通常は決算日)から1年7か月です。公共工事を途切れずに受注するには、毎年続けて受ける必要があります。

結果通知書の全体像

結果通知書は、大きく分けて次の4つのブロックでできています。

  1. 会社の基本情報:商号、許可番号、審査基準日など
  2. 業種ごとの評点:業種別の完成工事高(X1)、技術力(Z)、総合評定値(P)
  3. 会社全体の評点:経営規模のうち自己資本額と利益額(X2)、経営状況(Y)、社会性等(W)
  4. 技術職員などの内訳:業種ごとの技術職員数など

ポイントは、業種ごとに点数が出る項目と、会社全体で1つの点数が出る項目があることです。X1・Z・Pは業種ごとに、X2・Y・Wは会社全体で評価されます。

P点(総合評定値)とは

P点は、経審の最終的な点数です。入札参加資格の格付けなどで使われるのは、主にこの数字です。

P点は、5つの評点に決められた比率をかけて合計して出します。

  • X1(完成工事高):25%
  • X2(自己資本額・利益額):15%
  • Y(経営状況):20%
  • Z(技術力):25%
  • W(社会性等):15%

つまり、P点が上がった・下がったという結果だけを見ても、どの評点が原因なのかは分かりません。結果通知書は、5つの評点に分けて見るのがコツです。

5つの評点の意味

X1:完成工事高(業種ごと)

業種ごとの完成工事高(売上)の規模を評価する点数です。2年平均か3年平均のどちらかを選べます。

その年にどれだけの工事を完成させたかで決まるので、受注の多い・少ないがそのまま表れます。

X2:自己資本額と利益額(会社全体)

会社の自己資本額と、利益額(利払後事業利益額)をもとにした点数です。

工事でちゃんと利益が出せたかどうかは、このX2に表れます。 売上が大きくても、利益が出ていなければX2は伸びません。

Y:経営状況(会社全体)

決算書の財務内容をもとに、収益性や負債の大きさ、財務の健全性などを8つの指標で評価した点数です。経営状況分析機関に分析を依頼して算出します。

X2と同じく、会社の「お金まわり」の健康状態が表れる点数です。

Z:技術力(業種ごと)

技術職員の数と、元請として完成させた工事の金額をもとにした点数です。技術職員は、資格の種類によって点数が変わります。

資格ごとの点数は、こちらの記事で一覧にしています。

技術職員名簿の書き方は、こちらで解説しています。

W:社会性等(会社全体)

建設業経理士の数、防災協定の締結、建設機械の保有、CCUSの活用、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」(2026年7月から)など、会社の社会的な取り組みを評価する点数です。

経審で5点が加算される『職人いきいき宣言(建設技能者を大切にする企業の自主宣言)』についてはこちらの記事でどうぞ。

小さな建設会社が毎年見るべきポイント

ここからは、僕が実際に結果通知書を見るときの視点です。

社員が少ない会社では、Z点はほとんど動かない

僕の勤務先は社員が少なく、必要な資格はみんな取り終わっています。そのため、技術力のZ点は毎年ほとんど変わりません。

社員を増やしたり、新たに資格を取ったりしない限り、Z点は固定に近い項目です。大きな会社なら毎年の資格取得で変動しますが、小さな会社では「動かない前提」で見てしまって大丈夫です。

毎年見ているのは「X2」:工事で利益が出せたか

そこで僕が毎年確認しているのが、X2です。

X2には利益額が反映されるので、「その年の工事で、ちゃんと利益を出せたか」が数字で表れます。現場監督として担当した工事の結果が、会社全体の数字としてどうだったかを確かめる、答え合わせのような感覚で見ています。

あわせてY(経営状況)を見れば、会社の財務の健康状態も分かります。

X1は「受注量」の確認に

X1は完成工事高なので、利益ではなく売上の規模を表します。「去年より工事を多くこなせたか」を確認する項目です。

X1が上がってもX2が伸びていなければ、「売上は増えたけれど利益が出ていない」ということになります。X1とX2をセットで見ると、その年の工事の中身が見えてきます。

小さな会社の見方まとめ

評点小さな会社での動き方見るときのポイント
Z(技術力)ほとんど動かない資格者が増減したときだけ確認
X1(完成工事高)受注量で動く売上の規模が増えたか
X2(自己資本額・利益額)利益で動く工事で利益が出せたか
Y(経営状況)決算内容で動く財務が健全か
W(社会性等)取り組みで動く加点項目の取りこぼしがないか

前年の通知書と比べて見る

結果通知書は、1年分だけ見てもあまり意味がありません。前年の通知書と並べて、どの評点がどれだけ動いたかを比べるのが一番のおすすめです。

P点が下がっていたら、5つの評点のどれが下がったのかを確認します。原因が分かれば、「受注量が減った」「利益が出ていない」「資格者が退職した」など、次の年に何をすべきかが見えてきます。

経審の有効期限についてはこちらの記事でまとめています。

よくある質問

経審の結果通知書はいつ届く?

経営規模等評価の申請をしてから、審査を経て通知されます。届くまでの期間は許可行政庁によって異なるので、申請先に確認してください。

P点は何点あればいい?

入札参加資格の格付けの基準は、発注者(国や自治体)ごとに異なります。参加したい発注者の基準を確認するのが確実です。

経審の結果は公開される?

はい。経審の結果は公開されていて、建設業情報管理センター(CIIC)の検索サービスなどで、ほかの会社の結果も見ることができます。

まとめ

  • 経審の結果通知書は、会社の基本情報、業種ごとの評点、会社全体の評点、技術職員などの内訳の4つのブロックでできている
  • P点は、X1・X2・Y・Z・Wの5つの評点に比率をかけて合計した点数
  • P点だけでなく、5つの評点に分けて見ることで原因が分かる
  • 社員の少ない会社では、Z点はほとんど動かない。毎年見るべきは、利益が表れるX2と、受注量が表れるX1
  • 前年の通知書と並べて比べると、次の年にやるべきことが見えてくる

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