公共工事を元請として受注するには、有効な経審(経営事項審査)の結果通知書を持っている必要があります。
この結果通知書には有効期限があり、うっかり切らしてしまうと、その間は公共工事の契約ができなくなります。
筆者は建設業歴20年の現役の現場監督で、勤務先は公共工事が中心の建設会社です。この記事では、次のことを解説します。
- 経審の有効期限の数え方
- 決算月別の有効期限・決算変更届の期限の早見表
- 期限を切らさないための年間スケジュール(8月決算の会社の実例)
- 申請のときに会社側で用意する主な書類
結論:有効期限は「審査基準日から1年7か月」
経審の結果通知書の有効期限は、審査基準日(原則として直前の決算日)から1年7か月です。
注意したいのは、結果通知書を受け取った日から数えるのではないことです。決算日が起点なので、申請が遅れて結果が届くのが遅くなると、そのぶん「使える期間」は短くなります。
また、経審は毎年の決算ごとに受け直す必要があります。公共工事を途切れずに受注するには、今の結果の有効期限が切れる前に、次の決算期の結果を受け取っておくことが大切です。
なぜ「1年7か月」なのか
有効期限が1年7か月なのは、次の決算期の経審を受けるための猶予が含まれているからです。
1年(次の決算日まで)+7か月(次の決算期の経審の結果が届くまでの期間)=1年7か月、というイメージです。
つまり、次の決算日から7か月以内に、新しい結果通知書を受け取れれば、有効期限が途切れないということです。この7か月の中に、決算変更届の提出、経営状況分析、経審の申請、審査の期間がすべて入ります。
決算月別の早見表
決算月ごとの、決算変更届の提出期限と、経審の有効期限の目安をまとめました。
| 決算月 | 決算変更届の提出期限 | 今回の結果の有効期限(目安) |
|---|---|---|
| 1月 | 5月末 | 翌年8月末ごろ |
| 2月 | 6月末 | 翌年9月末ごろ |
| 3月 | 7月末 | 翌年10月末ごろ |
| 4月 | 8月末 | 翌年11月末ごろ |
| 5月 | 9月末 | 翌年12月末ごろ |
| 6月 | 10月末 | 翌々年1月末ごろ |
| 7月 | 11月末 | 翌々年2月末ごろ |
| 8月 | 12月末 | 翌々年3月末ごろ |
| 9月 | 翌年1月末 | 翌々年4月末ごろ |
| 10月 | 翌年2月末 | 翌々年5月末ごろ |
| 11月 | 翌年3月末 | 翌々年6月末ごろ |
| 12月 | 翌年4月末 | 翌々年7月末ごろ |
※決算日が月末の場合の目安です。有効期限の正確な日付は、手元の結果通知書の審査基準日から確認してください。
※決算変更届(事業年度終了届)は、決算日から4か月以内に許可行政庁へ提出します。
決算日を入れるだけで、有効期限・決算変更届の期限・申請の目標日が自動で出る管理表を無料で配布しています。期限が近づくと赤く表示されるので、毎年の経審の準備忘れを防げます。
期限を切らさないための年間スケジュール
基本の流れ
決算日から、おおよそ次の順番で進みます。
- 決算
- 決算変更届の提出(決算日から4か月以内)
- 経営状況分析の申請(登録経営状況分析機関に依頼してY点を出してもらう)
- 経審(経営規模等評価・総合評定値)の申請(許可行政庁へ)
- 審査・結果通知書の受け取り
この5つを、決算日から7か月以内に終わらせるのが目標です。審査や通知にかかる期間は許可行政庁によって違うので、余裕を持って申請するのが安全です。
8月決算の会社の実例
筆者の勤務先は8月決算です。今年は、10月の頭から経審の準備を始めました。
8月決算の場合、スケジュールのイメージは次のようになります。
- 8月末:決算(審査基準日)
- 10月〜:経審の準備を開始
- 12月末まで:決算変更届の提出期限
- 翌年3月末ごろ:前年度の結果の有効期限
前年度の結果が使えるのは翌年3月末ごろまでなので、それまでに今年度の結果通知書を受け取る必要があります。10月頭から準備を始めれば、余裕を持って間に合わせられます。
なお、筆者の勤務先では、経審の申請手続きは行政書士に依頼しています。行政書士に頼む場合でも、決算書や工事の実績、技術職員の資格の情報などは会社側で用意する必要があるので、「いつまでに何を渡すか」を決めておくとスムーズです。
経審で5点が加算される『職人いきいき宣言(建設技能者を大切にする企業の自主宣言)』も決算内に済ませないと当該基の経審に間に合いません。詳しくはこちらの記事でどうぞ。

申請のときに会社側で用意する主な書類
経審の申請に必要な書類は許可行政庁によって異なりますが、会社側で用意するものとして、主に次のようなものがあります。
- 決算書類(財務諸表など)
- 工事経歴書(その期に完成した主な工事の一覧)
- 技術職員の情報(技術職員名簿、資格者証の写し、講習の受講状況など)
- 経営状況分析の結果通知書(分析機関から届くもの)
- W点の加点に関する書類(防災協定、建設業経理士の資格など、該当するもの)
※2026年7月以降の申請から、様式や社会性等(W点)の審査項目が変わっています。必ず最新の手引きで必要書類を確認してください。
技術職員名簿の書き方は、こちらで記入例つきで解説しています。

有効期限が切れるとどうなる?
公共工事の契約ができなくなる
有効な経審の結果がない期間は、公共工事を元請として請け負う契約を結ぶことができません。入札に参加できなかったり、落札しても契約ができなかったりするおそれがあります。
「空白期間」が生まれる
新しい結果通知書が届くのが、前の結果の有効期限より後になってしまうと、その間は有効な結果がない「空白期間」になります。この期間は、公共工事の契約ができません。
空白期間を作らないためには、決算後、早めに準備に取りかかることが一番の対策です。
よくある質問
- 経審の有効期限は何年?
-
審査基準日(原則として直前の決算日)から1年7か月です。結果通知書を受け取った日から数えるわけではないので注意してください。
- 経審は毎年受けないといけない?
-
公共工事を継続して受注したい場合は、毎年の決算ごとに受ける必要があります。受けない年があると、有効期限が切れて公共工事の契約ができない期間が出てきます。
- 有効期限は結果通知書のどこで確認できる?
-
結果通知書には審査基準日が記載されているので、そこから1年7か月で計算します。結果通知書の見方は、こちらの記事で見本の図つきで解説しています。

まとめ
- 経審の有効期限は、審査基準日(決算日)から1年7か月
- 受け取った日ではなく決算日から数えるので、申請が遅れるほど使える期間が短くなる
- 次の決算日から7か月以内に新しい結果を受け取れば、有効期限は途切れない
- 決算変更届は決算日から4か月以内に提出する
- 行政書士に依頼する場合も、決算書や技術職員の情報など、会社側で用意するものを早めにそろえておく



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