2026年7月1日以降に申請する経審(経営事項審査)から、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」をしている会社は、社会性等(W点)で5点加点されるようになりました。通称「職人いきいき宣言」とも呼ばれる制度です。
ただ、この加点には「審査基準日(決算日)の時点で宣言していること」という条件があります。決算日を過ぎてから慌てて宣言しても、その年の経審では加点されません。
僕は建設業歴20年の現役の現場監督で、勤務先は公共工事が中心の小さな建設会社です。正直に書くと、勤務先はまだこの宣言をしておらず、CCUS(建設キャリアアップシステム)にも登録していません。
ヤマダこの記事は、同じように「まだ何もしていない会社」が、次の経審に間に合わせるために調べた内容をまとめたものです。
結論:決算日の1〜2か月前までに申請しておく
先に結論です。
- 経審で加点されるには、審査基準日(決算日)の時点で宣言が公表されている必要がある
- 申請してから公表まで、最大1か月程度かかる
- 宣言にはCCUSの利用環境の整備が必須項目として含まれるので、CCUSに未登録の会社は、その準備も必要
つまり、決算日の1〜2か月前までには申請を済ませておくのが安全です。CCUSに未登録なら、さらにその前から準備を始める必要があります。
建設技能者を大切にする企業の自主宣言とは
国土交通省が運営する制度で、建設技能者の処遇改善に積極的に取り組む会社が、その取り組みを社内外に宣言するものです。宣言した会社は、国土交通省のポータルサイトで企業名や宣言内容が公表され、シンボルマークも使えるようになります。
制度の目的は、技能者を大切にする会社がサプライチェーン全体で評価され、受注の機会や、働く人から選ばれる機会につながるようにすることです。
誰が宣言できる?
- 元請・下請のどちらの立場でも宣言できます(現場に入る比率が高いほうの立場で宣言します)
- 申請は法人単位です
- 事業規模や建設業許可の有無は問われません
- 発注者の立場でも宣言できますが、経審の加点の対象になるのは、元請または下請の立場での宣言だけです
宣言の必須項目
宣言には、必ず含める必要がある項目があります。
共通(元請・下請とも)
- 宣言している企業との取引を優先すること
- CCUSの利用環境を整備すること
- 会社独自の取り組み
元請の立場で宣言する場合
- 適切な工期や労務費などでの取引
下請の立場で宣言する場合
- 技能レベルに応じた手当や賃金の支払い
- 月給制
- 週休2日制
必須項目のほかに、任意で取り組みを追加することもできます。
小さな会社が引っかかりやすいポイント
僕の勤務先のような小さな会社にとって、一番のハードルになりそうなのがCCUSの利用環境の整備です。
CCUSに登録していない会社は、まず事業者登録などの準備から始める必要があります。登録には費用がかかり、手続きにも時間がかかるので、宣言の申請より前に、余裕を持って進めておく必要があります。CCUSの登録方法や費用は、CCUSの公式サイトで最新の情報を確認してください。
経審で加点される条件
経審のW点で5点加点されるには、次の条件を満たす必要があります。
- 審査基準日の時点で、元請または下請の立場で宣言していること
- 宣言した取り組みを、取組開始日以降に行う(または行っている)旨の誓約書を提出すること
対象は、2026年7月1日以降に申請する経審です。
取組開始日に注意
申請するときに、「取組開始日」を設定します。取組開始日は、申請日から1年以内の日にする必要があり、その日までに宣言したすべての取り組みを始めている必要があります。
取組開始日までに取り組みを始められなかった場合は、宣言の取り下げが必要になります。「とりあえず宣言だけ」ではなく、実際に取り組める内容で宣言することが大前提です。
あわせて知っておきたい改正
2026年7月の経審改正では、自主宣言の新設とあわせて、CCUSの就業履歴の蓄積に関する加点が引き下げられました(すべての建設工事で実施:15点→10点、すべての公共工事で実施:10点→5点)。
減った分が自主宣言の加点に移った形なので、CCUSを活用している会社ほど、自主宣言もしておかないと点数が下がる可能性があります。
申請の流れ
- 準備:宣言する立場(元請か下請か)を決め、必須項目に取り組めるかを確認する。CCUSに未登録なら登録を進める
- 申請:国土交通省のポータルサイトから、オンラインで申請する(取組開始日を設定)
- 確認:国土交通省と事務局が内容を確認する(最大1か月程度)
- 公表:ポータルサイトで公表され、メールで通知が届く
- 経審の申請時:宣言書と誓約書を提出する
経審のときに必要な書類や誓約書の様式は、許可行政庁によって異なります。許可行政庁のホームページで確認してください。
決算月から逆算した準備スケジュール
加点のカギは、決算日に間に合うかどうかです。決算日から逆算すると、次のようなスケジュールになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 決算日の4〜6か月前 | 宣言する立場と取り組み内容を決める。CCUSに未登録なら登録を始める |
| 決算日の2〜3か月前 | ポータルサイトから宣言を申請する |
| 決算日の1か月前まで | 公表を確認する(最大1か月かかるため) |
| 決算日 | この時点で宣言済みなら、その期の経審で加点対象 |
| 経審の申請時 | 宣言書と誓約書を提出する |
8月決算の会社の場合
僕の勤務先は8月決算です。今から準備する場合、次の経審(2027年8月末の決算期)で加点を取るには、次のようなスケジュールになります。
- 2027年3〜4月ごろ:宣言内容を決め、CCUSの登録を進める
- 2027年6月ごろ:宣言を申請する
- 2027年7月中:公表を確認する
- 2027年8月31日:決算日(審査基準日)。この時点で宣言済みなら加点対象
決算日を基準にした経審の期限管理には、こちらの管理表も使えます。


宣言の有効期間と更新
宣言の有効期間は、申請日の翌月から数えて2年経過後の、最初の12月末までです。
たとえば2026年7月に申請した場合は、2028年12月末までが有効期間になります。有効期限の3か月前にメールで通知が届き、期限の1か月前までにポータルサイトから更新を申請します。
更新を忘れると、次の経審の審査基準日に宣言が切れていて、加点を取り逃がすおそれがあります。経審の期限とあわせて管理しておきましょう。
よくある質問
- 宣言に費用はかかる?
-
宣言の申請はポータルサイトからオンラインで行います。ただし、必須項目にCCUSの利用環境の整備が含まれるので、CCUSに未登録の会社は、CCUSの登録費用がかかる場合があります。
- 一人親方や小さな会社でも宣言できる?
-
事業規模や建設業許可の有無は問われないので、宣言できます。ただし、必須項目の取り組みを実際に行える必要があります。
- 決算日を過ぎてから宣言したら?
-
その期の経審では加点されません。次の決算期の経審から加点の対象になります。
- 宣言企業はどこで確認できる?
-
国土交通省のポータルサイトにある「宣言企業検索」で確認できます。取引先が宣言しているかを確認するのにも使えます。
まとめ
- 2026年7月以降の経審から、自主宣言(職人いきいき宣言)でW点が5点加点される
- 加点の条件は、審査基準日の時点で元請または下請として宣言していることと、誓約書の提出
- 申請から公表まで最大1か月かかるので、決算日の1〜2か月前までに申請する
- 必須項目にCCUSの利用環境の整備があるので、未登録の会社は早めに準備する
- 宣言の有効期間は約2年。更新を忘れると加点を取り逃がすので、経審の期限とあわせて管理する
経審のほかの評点の仕組みや、結果通知書の見方は、こちらの記事で解説しています。







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