建設業の請求書は、普通の請求書と同じつもりで作ると元請に差し戻されることがあります。
工事名が注文書と違う、注文書番号がない、法定福利費の書き方が元請のルールと違う。どれも金額は合っているのに、書類として受け付けてもらえないパターンです。
この記事では、建設業で使える請求書のExcelテンプレートを工事一式用・常用(人工代)用の2種類で無料配布します。あわせて、建設業の請求書に必要な記載項目と、差し戻されやすいミスもまとめました。
ヤマダ現場監督として20年、協力会社さんの請求書を受け取る側にいました。「ここが抜けてると戻される」というポイントも、受け取る側の目線で書いています。
建設業の請求書テンプレート(無料ダウンロード)
用途に合わせて2種類用意しました。どちらも登録不要で、Excelをダウンロードしてすぐに使えます。
| 工事一式用 | 常用(人工代)用 | |
|---|---|---|
| 使う場面 | 工事が終わって一括で請求する | 人工(1人1日)単位で請求する |
| 明細 | 品名・数量・単位・単価(10行) | 日付・作業内容・人工・残業時間(31日分) |
| 法定福利費 | 別行で記載できる | ー |
| 自動計算 | 小計・消費税・合計 | 人工×単価+残業時間×残業単価、合計人工 |
| インボイス対応 | ○ | ○(未登録なら登録番号の欄ごと非表示) |






どっちを使えばいい?
迷ったら、契約の形で選んでください。
- 工事を請け負って、完了したら請求する → 工事一式用
- 職人を何人・何日出したかで請求する(常用・応援) → 常用用
- 工事の途中で、進んだ分だけ請求する → 出来高請求書
同じ元請でも、本工事は一式、追加の応援は常用、というように現場によって使い分けることもよくあります。
建設業の請求書が普通の請求書と違うところ
物販やサービス業の請求書なら、「品名・数量・単価・金額」が書いてあれば大きな問題にはなりません。
建設業では、それに加えてどの工事の、どの契約に対する請求なのかがわかることが求められます。元請は複数の現場を同時に動かしていて、届いた請求書を現場ごと・注文書ごとに照合して支払うからです。
そのため、建設業の請求書には次のような情報が入ります。
- 工事名・現場名(元請の工事台帳と同じ名称)
- 工事場所
- 工期または対象期間
- 注文書番号(注文書・請書の番号)
- 法定福利費(内訳として明示を求める元請もある)



受け取る側の目線で言うと、工事名と注文書番号が一番大事です。
ここが合っていないと、どの予算から払えばいいのか事務の人が確認できず、処理が止まります。
建設業の請求書に必要な記載項目
必要な項目を3つに分けて整理します。
| 区分 | 項目 | ポイント |
|---|---|---|
| 基本情報 | 宛先(請求先) | 会社名は「株式会社」まで正式名称で。法人は「御中」 |
| 請求日・請求番号 | 請求日は元請の締め日に合わせるのが一般的 | |
| 発行者情報 | 会社名・屋号、住所、電話番号 | |
| 請求金額・支払期日 | 支払期日は元請の支払条件に合わせる | |
| 振込先 | 銀行名・支店名・口座種別・口座番号・名義 | |
| 建設業ならでは | 工事名・現場名 | 注文書・工事台帳と完全に同じ名称で |
| 工事場所・工期 | 常用の場合は対象期間(例:9月1日〜9月30日締め) | |
| 注文書番号 | 元請から番号が出ている場合は必ず記載 | |
| 法定福利費 | 別行で明示する。見積・注文の段階で内訳になっていれば請求も合わせる | |
| インボイス制度 | 登録番号 | 「T」+13桁。未登録なら記載しない |
| 税率ごとの金額と消費税額 | 「10%対象 ◯◯円(うち消費税 ◯◯円)」の形 | |
| 取引年月日・取引内容 | 工期や作業日、工事内容で示す |
法定福利費の考え方や見積書での書き方は、こちらで詳しくまとめています。


インボイスで気をつけるのは「消費税の端数処理」
インボイス制度では、消費税の端数処理(切り捨て・四捨五入・切り上げ)は1枚の請求書につき、税率ごとに1回です。明細の1行ごとに消費税を計算して足し上げるのは認められていません。
配布しているテンプレートは、税抜の小計に対して1回だけ消費税を計算する形になっています。端数処理は切り捨て・四捨五入・切り上げからプルダウンで選べるので、元請の指定に合わせてください。
一人親方に外注している側の確認方法は、こちらにまとめています。


請求パターン別の書き方
工事が終わってから一括で請求する
工事一式用のテンプレートを使います。
- 入力シートに自社情報と振込先を入れる(最初の1回だけ)
- 請求先・請求日・支払期日を入れる
- 工事名・工事場所・工期・注文書番号を入れる
- 明細に品名・数量・単位・単価を入れる(「幹線設備工事 1式」「照明器具取付 48台」など)
- 法定福利費があれば金額を入れる
明細の書き方は、注文書や見積書の内訳に合わせるのが基本です。見積が「◯◯工事 一式」なら請求も一式、内訳で出しているなら請求も同じ内訳で書くと、元請側で照合しやすくなります。
常用(人工代)で請求する
常用用のテンプレートを使います。
- 1人工あたりの単価と、残業1時間あたりの単価を入れる
- 日ごとの明細に「日付・作業内容・人工・残業時間」を入れる
- 金額は「人工×単価+残業時間×残業単価」で自動計算されます
- 駐車場代や交通費は「その他」の行に入れる
人工は「1人が1日働いて1人工」です。2人なら2.0、半日なら0.5で入れてください。
日付と人工は、出面表からそのまま写せる並びにしています。出面表もテンプレートを配布しているので、あわせて使うと転記が楽になります。


常用の請求書の詳しい書き方(半日・残業の書き方、応援の扱いなど)は、別の記事でまとめています。


工事の途中で請求する(出来高)
工事が長期にわたる場合は、進み具合に応じて途中で請求する「出来高請求」になります。累計の出来高と前回までの請求額を管理する必要があるので、専用の出来高請求書テンプレートを使ってください。


元請に差し戻されやすいミス
受け取る側でよく見たのは、次の5つです。
① 工事名が注文書と違う
「青空ビル新築工事」と「(仮称)青空ビル新築工事 電気設備工事」では、元請の事務からすると別物に見えることがあります。注文書に書いてある工事名を、一字一句そのまま写すのが一番確実です。
② 注文書番号が書いていない
注文書番号は、元請が予算と請求を突き合わせるためのキーです。番号が出ている元請なら必ず記載してください。
③ 締め日と請求日がずれている
20日締めの元請に月末日付の請求書を出すと、翌月回しになることがあります。取引先ごとに締め日と支払日をメモしておくと安心です。
④ インボイスの登録番号・消費税額が書いていない
登録しているのに番号を書き忘れると、元請は仕入税額控除の手続きで困ります。税率ごとの金額と消費税額の記載も必須です。
⑤ 常用の人工数が出面と合わない
元請は自分たちの出面表と、届いた請求書の人工数を突き合わせます。半日を1人工で書いていた、休んだ日が入っていた、というズレがあると確認の電話がかかってきます。請求書を出す前に、出面表の人工合計と一致しているか確認してください。



⑤は結構あるあるです。請求書のテンプレートに合計人工を出しているのは、出面表の合計と見比べてもらうためです。
テンプレートの使い方
どちらのテンプレートも「入力」シートと「請求書」シートの2枚構成です。


- 「入力」シートの黄色いセルだけ入力します(白いセルは自動計算)
- サンプルの値が入っているので、上書きして使ってください
- 「請求書」シートに自動で反映されるので、そのまま印刷するか、PDFで保存して送ります
ExcelからPDFにするときは「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」で保存できます。A4縦1枚に収まるよう設定済みです。
毎月の請求が多いなら:履歴管理版(有料)
無料版は「今月の請求書を1枚作る」ためのシンプルな作りです。毎月上書きして使うので、過去の請求書は残りません。
元請が何社もあって毎月請求が続くと、次のような手間が出てきます。
- 元請ごとに締め日・支払日が違って、支払期日を毎回数えている
- 先月どこにいくら請求したか、入金されたかを別の帳簿で確認している
- 常用単価が元請によって違うのに、毎回打ち直している
そういう方向けに、履歴管理版をnoteで販売しています。




- 取引先を選ぶだけで、敬称・支払期日・常用単価・端数処理が自動で入る(最大20社)
- 一式・常用の両方を1つのファイルで、最大100件まで保存。請求No.を選べば過去の請求書をいつでも再印刷できる
- 入金日を入れると「入金済/未入金/期日超過」が自動で切り替わる
- 取引先別・月別の請求額と未入金残を自動集計
- 出面表テンプレートから常用の人工を取り込める


建設業の経理担当者・現場監督兼務の方向けに、実務で使えるExcelテンプレートを5本まとめたマガジンです。
収録テンプレート(全5本)
- 取引先マスタ付き請求書テンプレート(履歴管理版)
- 出来高請求書テンプレート(履歴管理版)
- 工事別原価管理テンプレート(5工事横断版)
- 一人親方インボイス管理台帳(50件管理版)
- 建設業 未収金管理台帳(25件管理版)
単品合計4,900円のところ、マガジンなら3,000円。なんと1,900円もお得にまとめて入手できます。
Excel 2013以降対応/Windows・Mac両対応
Excelで作るのが面倒になったら:請求書ソフトという選択肢
Excelのテンプレートは無料で自由に使えるのが良いところですが、毎回ファイルを開いて、PDFにして、メールに添付して…という手間はかかります。
私自身、ブログとは別にライティングの仕事もしていて、そちらの請求には請求書ソフトのMisoca(ミソカ)を使っています。取引先と品目を一度登録すれば、毎月の請求書は数クリックで作れて、PDFでの送付まで画面の中で完結するので楽です。


ただ、Misocaは業種を問わない汎用の請求書ソフトです。出来高のような累計・残額の管理や、出面表との突き合わせは自分でやる必要があります。
なので、使い分けとしてはこう考えています。
- 一式や常用の、毎月同じような請求 → 請求書ソフトに任せると楽
- 出来高請求・出面との突き合わせが必要な請求 → Excelのテンプレートの方が融通が利く
無料プランから試せるので、Excelでの作成が負担になってきたら一度触ってみてください。
経理全体をソフトでまとめたい場合は、建設業向けの会計ソフトをこちらで比較しています。


請求した後は「入金の確認」まで
請求書を出したら終わりではなく、期日どおりに入金されたかの確認までがセットです。複数の元請に請求していると、入金漏れに気づくのが遅れがちです。
工事ごとの未入金を管理する台帳も無料で配布しています。


よくある質問
- 人工代は請求書にどの単位で書けばいい?
-
「人工」で書くのが一般的です。1人が1日働いて1人工、2人なら2人工、半日なら0.5人工です。元請によっては「人」「日」と書く場合もあるので、注文書や出面表の表記に合わせてください。
- 常用の人工代に消費税はかかる?
-
外注として常用で請求する人工代は、工事の請負と同じく消費税の課税対象(10%)です。請求書には税抜金額と消費税額を分けて書いてください。
- 一人親方で、インボイスに登録していない場合はどう書く?
-
登録番号の欄は空欄にします。常用用のテンプレートは、空欄にすると「登録番号:」の表示ごと消えるようになっています。
なお、元請側は未登録の一人親方に払った分の消費税を、経過措置として一部しか控除できません(2026年10月1日からは50%)。単価の決め方などで元請と話が出ることもあるので、扱いは取引先や税理士に確認してください。 - 法定福利費は請求書に書かないといけない?
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法律で請求書への記載が義務づけられているわけではありません。ただ、見積書や注文書で法定福利費を内訳として出している場合は、請求書も同じように分けて書くと元請側で照合しやすくなります。元請から指定がある場合はそれに従ってください。
- 手書きの請求書でもいい?
-
手書きでも問題ありません。インボイスの記載事項(登録番号・税率ごとの金額と消費税額など)がそろっていれば有効です。テンプレートを印刷して、空欄に手書きで記入して使うこともできます。
- Excelがなくても使える?
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Googleスプレッドシートにアップロードすれば開けますが、レイアウトが崩れる場合があります。Excel 2013以降での利用をおすすめします。
まとめ
建設業の請求書で大事なのは、金額よりも**「どの工事・どの注文に対する請求か」がひと目でわかること**です。
- 工事名は注文書と一字一句そろえる
- 注文書番号・登録番号・税率ごとの消費税額を忘れない
- 常用は出面表の人工合計と一致しているか確認してから出す
工事一式用と常用(人工代)用のテンプレートは、どちらも登録不要で無料でダウンロードできます。今月の請求からそのまま使ってください。




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